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エコドライブのすすめ 環境にやさしい運転

エコドライブのすすめlevo.or.jp/lib/publish/pdfs/eco_drive_susume.pdfガス汚染について-」自動車技術会論文集, Vol.35, No.1, 文献番号20044041(2004)

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Page 1: エコドライブのすすめlevo.or.jp/lib/publish/pdfs/eco_drive_susume.pdfガス汚染について-」自動車技術会論文集, Vol.35, No.1, 文献番号20044041(2004)

〒160-0004 東京都新宿区四谷2-14-8 YPCビル電話(03)3359-8461(代表)FAX(03)3353-5439http://www.levo.or.jp/

(社)全日本トラック協会 委託事業

エコドライブのすすめ環境にやさしい運転

エコドライブの推進は、CO2削減(燃費向上)に大きく貢献します。しかし、道路や交通の状況(信号、坂道、渋滞、合流等)によって経済速度や定速で運転できない場合もあります。状況に応じた安全最優先の運転をこころが

け、臨機応変にエコドライブを実践しましょう。

2008.06,3000古紙パルプ配合率100%再生紙を使用

Organization for the Promotion of Low Emission Vehicles

ECO_DRIVE.indd 2 2008/06/02 14:46:44

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14001200100080060040020001 2 3 4 5 6 7

運転者

CO2排出量(g)

8 9 10111213

1.3倍765432101 2 3 4 5 6 7

運転者

NOx排出量(g)

8 9 10111213

1.9倍

25

20

15

10

5

01 2 3 4 5 6 7

運転者

平均車速(km/h)

8 9 10111213

自動車の運転方法とCO2排出量、すなわち燃料消費量の間には、密接な関係があることが知られています。ここに、最大積載量2トンの小型貨物自動車を試験車両として、運転者の違いがCO2排出量に与える影響を調査した実験を紹介します。実験では一般ドライバー13人を被験者とし、信号機がなく、他の自動車の影響を受けない(交通量が極端に少ない)1.7kmの山間試験路を設定し、同じ試験車両、同じ条件のもと、走行を行いました。図1のとおり、13人の被験者(運転者)の平均車速にはばらつきがあり、その結果、CO2排出量が最多の被験者は約1,259g(平均車速約11.9km/h)、最少の被験者は約946g(平均車速約19.9km/h)(図2)で、排出量は1.3倍の差がありました。運転者の違いによるCO2排出量の差は大変大きいことがわかります。また、NOx(窒素酸化物)排出量も最多の被験者と最少の被験者の間では約1.9倍の差がありました(図3)。もちろん日常の道路走行では、安全最優先の運転が必要になりますが、交通の影響を受けないで行ったこの実験の結果は、運転方法によってCO2やNOxの排出量を大きく低減できる可能性があることを示しています。

エコドライブとは何か

図2 運転者の違いによるCO2排出量の違い 図3 運転者の違いによるNOx排出量の違い

出典:「走行自動車による沿道局所排出ガス汚染のメカニズム解析-道路インフラ,交通状況および車両挙動と沿道局所排出    ガス汚染について-」自動車技術会論文集, Vol.35, No.1, 文献番号20044041(2004)

2005年2月に京都議定書が発効し、世界各国が温室効果ガス削減に向けた種々の取り組みを行っており、国内でも2006年4月には「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の一部改正が行われ、2008年3月には「京都議定書目標達成計画」の改正案が閣議決定されるなど、温室効果ガスの1990年比6%削減に向けた対策が次 と々打ち出されてきました。そして2008年4月1日からは、いよいよ京都議定書の第一約束期間(2012年まで)に入り、自動車交通部門の二酸化炭素(CO2)抑制対策はさらに重要な局面を迎えています。このような背景から、自動車のCO2排出量削減のための様々な施策が実施されており、そのひとつ

として、CO2排出量削減(燃費向上)を目的とした「エコドライブ」が注目されています。

■ 自動車の運転方法とCO2排出量の関係について

図1 運転者毎の平均車速

ECO_DRIVE.indd 3 2008/06/02 14:47:50

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◆主なエコドライブの方法◆

● 急発進・急加速をしない● 無用なアイドリングをやめる(アイドリングストップ)● マニュアル車は早めにシフトアップする● 経済速度で走る● 点検・整備をきちんとし、タイヤの空気圧を適正にする● 不要な物を積まない● 定速走行する● 無駄な空ぶかしをやめる● エンジンブレーキを活用するなど

■ 地球温暖化防止のために私たちができること-エコドライブ-

そこで登場するのが「エコドライブ」です。「エコドライブ」とは環境に配慮した運転を指しますが、有害排出ガス削減のほか、エネルギー消費節減、経営コスト削減、事故防止など、様々な効果が期待できます。主な「エコドライブ」の方法を以下に示します。

◆エコドライブの利点◆ エコドライブには、さまざまな利点があります。・CO2の排出量が減り、燃費が良くなるので燃料代を節約できます。・NOxなどの大気汚染物質の排出量が減り、身近な生活環境も改善されます。・車をいたわった運転なので車両やタイヤが長持ちし、メンテナンスコストを節約できます。・運転が穏やかになることで事故が減り、保険料や補償料、修理費用等が削減できます。

特に運送事業者にとっては、地球温暖化防止に寄与できるだけでなく、安全確保とコスト削減による経営改善という大きなメリットがあります。

こんなにいいことずくめですから、あなたもエコドライブを実践してみませんか。

以下、(財)運輸低公害車普及機構が(社)全日本トラック協会委託事業により路上およびシャシダイナモ上で行った実験結果を含め、CO2削減、燃料経済性向上効果について、より具体的に説明します。

ECO_DRIVE.indd 4 2008/06/02 14:47:53

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1

《試算条件》・発進後3秒間の燃料消費量 (条件A)=4.30cc (条件B)=1.96cc・1km走行あたりの平均発進回数=2回 (いずれも実験*1より)

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

燃費改善率(%)

1.8

燃料削減量(L)

58*4

277*5

削減燃料費(円/年)*6

6,728

32,132

1200

1000

800

600

400

200

0

CO2排出量(g/km)

車両加速度(m/s2)

CO2排出量:26%低減

小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)での試験結果

1.49市街路における2速ギアの平均値に対し+25%

(条件A)

0.92市街路における2速ギアの平均値に対し-25%

(条件B)

Ⅰ 急発進・急加速をしない

■ 急発進・急加速をやめたときの具体的な効果

表1 年間の燃料費削減効果(試算)

図4 発進後3秒間の平均車両加速度とCO2排出量の関係

*2~*6:8ページ下の注釈参照

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験。

信号待ちの後などに自動車を発進させる場合は、どうしても急発進になりがちです。急発進すると燃費の悪い高回転域を多く使うため通常の走行に比べて燃費が著しく悪くなると同時に、アクセルを大きく踏んだときにはエンジンに高い負荷がかかって燃焼温度が高くなり、NOxの排出量も増えてしまいます。アクセルの踏み込み量は大型車で80%ぐらい、中型車で50%ぐらいが目安になると言われており、アクセルを踏みすぎないことが省エネ運転のポイントです。

参考:日野自動車(株)「省エネへの挑戦」

・(財)運輸低公害車普及機構が行った実験*1において、市街路走行における発進後3秒間の車両加速度と走行エネルギーの関係を調べた結果、市街路走行の2速ギア車両加速度が平均値(1.2m/s2)に対し+25%の時(条件A)と-25%の時(条件B)を比較すると、CO2排出量が26%低減することがわかりました(図4)。これはすなわち、ゆるやかな発進・加速にすると、発進時のCO₂排出量を大幅に削減できるということを示しています。

・CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、ゆるやかな発進・加速にしたときの燃料経済性を試算した結果、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、1年間で3万円以上の削減が可能です(表1)。

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2

40

35

30

25

20

15

10

5

0

アイドリング時間比率(%)

市街路平均車速(km/h)

15 252010 30

30

25

15

10

5

0

排出量最大低減率(%)

アイドリング時間比率(%)

15 35302524

12

20

33郊外路 都市内渋滞路

2010 40

:CO2実測値:NOx実測値(参考)

:実測値

走行ルート

郊外路

都市内渋滞路

燃料削減量(L)燃費改善率(%)

6.0

10.0

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

削減燃料費(円/年)*6

194*4

922*5

324*4

1,537*5

22,504

106,952

37,584

178,292

エコドライブのすすめ

Ⅱ 無用なアイドリングをやめる(アイドリングストップ)

表2 年間の燃料費削減効果(試算)

図5 市街路における平均車速とアイドリング時間比率の関係

■ アイドリングストップを行ったときの具体的な効果

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験。

・(財)運輸低公害車普及機構が行った実験*1では図5に示すとおり、市街路走行において、平均車速が低くなるにつれてアイドリング時間の比率が高くなるので、アイドリングストップによるCO2排出低減効果も高くなることがわかりました。アイドリング時間比率が24%の郊外路では最大12%、同じく33%の都市内渋滞路では最大20%程度ものCO2低減効果が期待できることになります。また、NOx排出量低減効果もあります(図6)。

・一般的には路上走行時のアイドリング時間比率の半分ぐらいはアイドリングストップが可能と言われています。CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、この事例における実際のアイドリングストップによる燃費改善効果を燃料費に換算すると、都市内渋滞路では10%の燃費改善効果が期待でき、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、1年間で最大18万円近くも削減が可能です(表2)。

図6 アイドリングストップの効果予測(最大)

*2~*6:8ページ下の注釈参照

自動車はアイドリング時にも燃料を消費しており、停車時にエンジンを切ることで燃料を節約できます。一般に、エンジン始動時は燃料消費量が瞬間的に増えます。この消費量とアイドリングス

トップ時に削減できる消費量が等しくなる時間は車両により異なりますが、およそ5秒と言われています。したがって、5秒以上自動車が停止すると見込まれるときには、アイドリングストップを行うと効果があります。

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3

2500

2000

1500

1000

500

0

エンジン回転数(rpm)

ギアポジション

走行距離(m)

0 20 40 60 80 100 120

A地点 B地点

:エコドライブ :普通の運転 :エコドライブ :普通の運転

60

50

40

30

20

10

0

50

40

30

20

10

0

5

4

3

2

1

積算CO2排出量(g)

車速(km/h)

走行距離(m)

0 20 40 60 80 100 120

A地点 B地点

エンジン回転数を抑えてシフトアップ

ゆっくり加速

早めにシフトアップ

A-B間のCO2排出量△16.9%

燃料削減量(L)

214*4

1,015*5

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

燃費改善率(%)

6.6

削減燃料費(円/年)*6

24,824

117,740

《試算条件》 1km走行あたりの平均発進回数=2回(実験*1より)

Ⅲ マニュアル車は早めにシフトアップする

図7 車両発進時において早めにシフトアップした時の効果

表3 年間の燃料費削減効果(試算)

*2~*6:8ページ下の注釈参照

燃料消費量はエンジン回転数を上げると増大するので、なるべく高速段のギヤを使用し、エンジン回転数を抑えるようにしましょう。また、シフトアップの間は若干速度が低下するのが一般的です。そのため、シフトアップ操作が遅いとエンジン回転数と車速の落ち込みも大きくなり、次のシフトアップ・ポイントまでアクセルペダルを踏み込むことで燃料を多く使うことになります。従って、素早いシフトアップ操作によりエンジン回転数と車速の落ち込みを極力抑えることも、燃料消費量を減らすためのポイントとなります。

・(財)運輸低公害車普及機構が行った実験*1では、 路上走行中いたるところでCO2排出量のピークが発生することが確認されました(最大ピーク地点では、実験コース全体平均の18~25倍のCO2を排出)。そこでエンジン回転数を抑えてシフトアップしゆっくり加速する運転を行ったところ、この実験では図7に示すA地点とB地点の間で16.9%のCO2排出量低減効果が得られました。

・1km走行あたりの平均発進回数を2回、また、CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、早めにシフトアップしたときの効果を実際の燃料費に換算すると、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、6.6%の燃費改善効果があり、1年間で11万円以上に相当します(表3)。

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験。

■ 早めにシフトアップしたときの具体的な効果

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4

400

350

300

250

200

150

100

50

0

CO2排出量(g/km)

車速(km/h)最も効率の良い(=燃費の良い)車速

0 10 20 30 405060 70 80 90

CO2排出量△2.8%

179 g/km

174 g/km

小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)での試験結果

車速(km/h)

50超 → 50

燃料削減量(L)

87*4

415*5

燃費改善率(%)

2.7

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

削減燃料費(円/年)*6

10,092

48,140

《試算条件》 50km/hを超えて走行する頻度(距離)=8%(実験*7より)

エコドライブのすすめ

Ⅳ 経済速度で走る

表4 年間の燃料費削減効果(試算)

図8 シャシダイナモメータによる定速度走行試験結果

*2~*6:8ページ下の注釈参照

経済速度とは、円滑な交通流を乱すことなくできるだけ低いエンジン回転数で効率よく走れるスピードのことで、最も燃費が良いとされる速度です。一般道路では時速50km程度、高速道路では時速80km程度が経済速度と言われています。車が走行する際に受ける空気抵抗は速度の2乗に比例します。すなわち、速度が2倍にな

ると空気抵抗は4倍になります。高速で走行する=空気抵抗に打ち勝って走行することであり、経済速度を超えた速度で走行する場合は超えた速度分だけ余計な抵抗を受けることになり、燃費が悪くなります。

■ 経済速度で走行したときの具体的な効果

・(財)運輸低公害車普及機構が行ったシャシダイナモメータによる実験*1では、小型ディーゼル貨物車のCO2排出量は約50km/hのときに最も少ない174g/kmで、60km/hのときの179g/kmに比べて約2.8%削減できることがわかりました(図8)。このように、50km/hを超える走行はCO2排出量を増大させるので、郊外路や高速道路でもできるだけ速度を抑えて走行することが重要です。

・(財)運輸低公害車普及機構が行った路上走行による実験*7では、一般道で50km/hを超える走行をする頻度(距離)は8%でした。そこで、CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、50km/hを超える部分を50km/hまで下げて走行したときの燃費改善効果を実際の燃料費に換算すると、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、2.7%の効果があり、1年間で4万8千円以上に相当します(表4)。

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用しシャシダイナモメータ上で計測したもの。

*7:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し、東京・横浜で行った市街路走行実験。

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5

燃料削減量(L)

10*4

46*5

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

燃費改善率(%)

0.3

削減燃料費(円/年)*6

1,160

5,336

タイヤ空気圧は徐々に低下するので、日々の平均では走行抵抗が約0.5%増加することに相当する。

タイヤ空気圧の点検・調整頻度を3ヶ月毎

1ヶ月毎にする

CO2排出量=△0.3%

タイヤ寸法:205/65R16

3ヶ月間の空気圧=10%低下↓

走行抵抗=約1%増加

1.1

1.0

0.9

走行抵抗比

タイヤ空気圧(-)(指定空気圧を1とした場合の指数)

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2

標準(指定空気圧)

小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)での試験結果

点検頻度3ヶ月毎1ヶ月毎

タイヤ空気圧ー10%ー3.3%

走行抵抗 (日々の平均)約+1% (約+0.5%)約+0.3% (約+0.15%)

CO2排出量約+0.5%約+0.15%

Ⅴ 点検・整備をきちんとし、タイヤの空気圧を適正にする

■ タイヤの空気圧を適正にしたときの具体的な効果

①タイヤの空気圧は自然漏洩により低下しますので、走行前の冷えている時にエアゲージにより定期的(1回/月)に点検し、自動車メーカーの指定空気圧に調整して下さい。

②走行中、タイヤの発熱により空気圧は高くなりますが、増加した分の空気は絶対に抜かないで下さい。タイヤが冷えると空気圧は元に戻ります。

③複輪の場合、空気圧差はつけないで下さい。④バルブからの空気漏れを防ぐため、バルブの点検を行い、バルブ・キャップは必ず付けて下さい。⑤リムのフランジ(耳)部分に、異常な変形がないかどうか点検して下さい。

(社)日本自動車タイヤ協会「タイヤのおはなし トラック・バス用タイヤ編」より

図9 タイヤ空気圧と走行抵抗比の関係

表5 年間の燃料費削減効果(試算)

*2~*6:8ページ下の注釈参照

タイヤの空気圧が低いと走行抵抗が増し、その結果、燃料消費量が多くなります。逆に指定空気圧よりも空気圧が高いと燃費は向上しますが、高すぎると偏摩耗等によってタイヤの寿命が短くなるため、適正な空気圧を保つことが大切です。また指定空気圧よりも空気圧が低い場合、燃費が悪くなるだけでなく走行安全上も問題

があり、極端に低いと走行中にバーストすることがあります。特に高速道路を走る時は注意が必要です。適正な空気圧を保つため、以下に示すポイントにしたがって月に一度はタイヤを点検しま

しょう。

・3ヶ月で空気圧は約10%低下すると言われています。(財)運輸低公害車普及機構が行った計算*1

では、これによって走行抵抗、すなわちCO2排出量が1%増加することがわかりました(図9)。・CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、タイヤの空気圧を3ヶ月毎から1ヶ月毎に適正化したときの効果を実際の燃料費に換算すると、1年間で約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、0.3%の燃費改善効果によって1年間で5千円以上の削減が可能です(表5)。

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験データをもとに、タイヤの転がり抵抗係数(横浜ゴム㈱の実測データ)から計算した。

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6

1.3

1.2

1.1

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

走行抵抗比

車両総重量(kg)2000 2500 3000 3500 4000 4500

空積 全積5000

不要な物を50kg減らすことで走行抵抗は約1%減少する。

CO2排出量=△1%

走行抵抗=約△1%

△50kg

半積

小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)での試験結果

燃料削減量(L)

32*4

154*5

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

燃費改善率(%)

1.0

削減燃料費(円/年)*6

3,712

17,864

エコドライブのすすめ

Ⅵ 不要な物を積まない

表6 年間の燃料費削減効果(試算)

図10 車両総重量と走行抵抗比の関係

使用しない作業道具、不要な物等を積んで走ると車両の総重量が重くなり、エンジンに余計な負担がかかります。この結果、無駄な燃料を消費することになります。また車の制動距離が伸び、安定性に欠けるなど非常に危険であるばかりか、黒煙やNOx

も大幅に増加し、さらには車両騒音の要因にもなってしまいます。

■ 不要な物を降ろしたときの具体的な効果

・(財)運輸低公害車普及機構が行った計算*1では、小型ディーゼル貨物車の場合、車両総重量を50kg減らすことによって、走行抵抗は1%低減することがわかりました。これはすなわち、燃料消費量が1%低減することになり、CO2排出量も同様に1%低減できます(図10)。

・CO2低減率と燃費改善率が等しいとして、不要な物を降ろしたときの効果を実際の燃料費に換算すると、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、1%の燃費改善によって1年間で1万7千円以上の削減が可能です(表6)。

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験データをもとに計算した。

*2~*6:8ページ下の注釈参照

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7

車速(km/h)

30 ~ 50 → 40

燃料削減量(L)

201*4

953*5

燃費改善率(%)

6.2

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

削減燃料費(円/年)*6

23,316

110,548

《試算条件》 40km/h程度で走行する頻度(距離)=24.6%(実験*8より)

車速加速

減速定速運転

波状運転

時間

Ⅶ 定速走行する

図11 定速運転と波状運転のイメージ

表7 年間の燃料費削減効果(試算)

定速走行とは、文字通り一定の速度で走行することです。これに対し、車間距離を詰めつつ追い越しのチャンスをうかがう運転や、常に前の車と連なって走るといった、加速と減速を繰り返すような運転を波状運転といいます。このような走り方では無駄な減速と加速を何度も繰り返す事になってしまいます。加速・減速を繰り返さないで済むように、先をよく見通して安全な車間距離を保ち、定速

走行に心掛けると、燃費改善に役立ちます。

■ 定速で走行したときの効果

*1:参考-日産ディーゼル工業(株) http://www.nissandiesel.co.jp/service-info/eco-drive-6.html*8:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し

東京・横浜で行った市街路走行実験。

*2~*6:8ページ下の注釈を参照

エンジン始動直後や信号待ちなどでの空ぶかしはまったくの無駄です。燃費を悪くするばかりか、自動車の寿命にも影響します。10回の空ぶかしで、大型ディーゼル車の場合では、100cc~170ccの燃料が無駄になります。*1

*1:参考-国土交通省四国運輸局

Ⅷ 無駄な空ぶかしをやめる

・一般に、40km/hで定速走行すると、30km/hと50km/hの間での波状運転をした場合に比べ、大型車・中型車ともに約25%の燃料節約が可能になると言われています*1。

 (財)運輸低公害車普及機構が行った路上走行による実験*8では、40km/h程度で走行する頻度(距離)は24.6%でした。その部分がすべて波状運転であると仮定し、定速運転に改善したとすると、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、6.2%の燃費改善効果があり、1年間で11万円以上に相当します(表7)。

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8

車速(km/h)

走行距離(m)A地点 B地点

40

0

クラッチを切らずにエンジンブレーキで減速し、停止寸前にクラッチを切りフットブレーキで停止する

減速開始と同時にクラッチを切り、アイドリングの状態でフットブレーキにより減速、停止する

50m の間 40km/h で走行した後、急ブレーキをかけて、条件①・②よりも短い制動距離(35m)で停止する

条件①

条件②

条件③

85m50m

:条件①:条件②:条件③

条件①=0.4cc(3事例の平均値)条件②=4.6cc(計算値)条件③=4.3cc(計算値)

(いずれも停止1回あたり)

年間走行距離(km)

27,006(小型)*2

61,498(普通)*3

燃料削減量(L)

100*4

477*5

削減燃料費(円/年)*6

11,600

55,332

燃費改善率(%)

3.1

《試算条件》 1kmあたりの平均停止回数=2回(実験*1より)

エコドライブのすすめ

Ⅸ エンジンブレーキを活用する

■ エンジンブレーキを活用した場合の効果

ディーゼル車は走行中にアクセルペダルを離しエンジンブレーキの状態になると、燃料無噴射状態となり、クルマは燃料を消費せずに惰力だけで走行することになります。

*2:NEDO「運送事業用クリーンエネルギー自動車の導入普及に係る調査研究報告書(H12年度)」より 2トンクラス貨物自動車  の平均年間走行距離*3:「自動車輸送統計年報」より H18年度営業用普通車全体の年間1台当たり平均実働走行距離*4:H16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し、東京・横浜  で行った市街路走行実験における平均燃費0.12L/kmより計算*5:「自動車輸送統計年報」より H18年度営業用普通車全体の1km当たり軽油消費量0.25Lで計算*6:(社)全日本トラック協会調べ H20年3月全国軽油平均スタンド価格116円/L(税込)で計算

P1からP8の注釈

・(財)運輸低公害車普及機構が行った実験*1結果をもとに、図12に示す三つの減速・停止のパターンについて、小型ディーゼル貨物車の40km/hから停止までの間の燃料消費量を比較しました。その結果、図12に示すA地点とB地点の間にエンジンブレーキを活用して停止した時(条件①)は、減速開始と同時にクラッチを切ってアイドリングの状態で停止した時(条件②)や、制動距離を35mに短縮して急ブレーキで停止した時(条件③)と比べ、約1/10以下に削減できることがわかりました(表8)。

・CO2低減率と燃費改善効果が等しいとして、エンジンブレーキを活用した時としない時の燃料経済性を比較した結果、年間約6.1万km*3を走行する営業用普通貨物自動車の場合、1年間に5万5千円以上の削減が可能です(表9)。

表8 減速・停止時の燃料消費量(実験*1結果より)

*1:平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において、小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験。

*2~*6:下の注釈参照

表9 年間の燃料費削減効果(試算)

図12 減速・停止パターンのイメージ

*以上に示した年間の燃費削減効果は、(財)運輸低公害車普及機構が平成16年度(社)全日本トラック協会委託事業において小型ディーゼル貨物車(半積載・新短期規制車)を使用し東京・横浜で行った市街路走行実験およびシャシダイナモメータ試験の結果から得られた試算値であり、実際は交通流や運転条件等により、値は異なります。また、各項目の試算表中、最大燃費改善率(%)は小数点第2位以下を四捨五入したため、削減効果の数値には誤差があります。

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(社)全日本トラック協会 委託事業

エコドライブのすすめ環境にやさしい運転

エコドライブの推進は、CO2削減(燃費向上)に大きく貢献します。しかし、道路や交通の状況(信号、坂道、渋滞、合流等)によって経済速度や定速で運転できない場合もあります。状況に応じた安全最優先の運転をこころが

け、臨機応変にエコドライブを実践しましょう。

2008.06,3000古紙パルプ配合率100%再生紙を使用

Organization for the Promotion of Low Emission Vehicles

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