Pilates Athlete Japan...Pilates パフォーマンスアップから怪我予防まで...

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怪我予防や運動後の疲労回復効果がある。さらにパフォーマンスアップを狙うなら、ピラティスを試したい。ピラティスは1920年代にドイツ人のジョセフ・ピラティスが開発したメソッド。最近ではピラティスを取り入れるアスリートも増えた。「ストレッチやマッサージが痛みや凝りに対する対症療法だとしたら、ピラティスでは痛みや凝りが生じにくいボディを作ることができます」そう語るのは、リン・ロビンソンさん。サッカー・プレミアリーグの名門チェルシーFCでも指導している英国ピラティスの第一人者である。運動選手のピラティスというと、怪我や故障からのリハビリ向けというイメージが強いけれど、彼女によると「ピラティスはもともとアスリートのパフォーマンスアップのためのプログラム。それがのちにリハビリに応用された」のだという。そこでロンドン五輪の最中に緊急来日した彼女に、本誌読者のためにスペシャルプログラムを作ってもらった。メニューは朝、夜、週末とシーン別に3つ。それぞれ前・後ろ・横への屈曲、ひねりで背骨をバランスよく動かし、朝夕は各30分、週末は60分。欠かさず続けると快適に動けてパフォーマンスもアップする!

トレッチ&マッサージはアスリートやスポーツ愛好者にも必須のメソッド。ス

スポーツブラ3,990円、コンプレッションカプリ5,565円、共にUNDER ARMOR 、問ドーム»0120・106786。

INDEX

タイミングよくカラダを整える。

……エネルギッシュ朝

……リラックス夜

……チャレンジ週末

AthletePilatesパフォーマンスアップから怪我予防まで

アスリートのためのピラティス特別講座英国のピラティス・クイーンが『ターザン』のために特別監修。これで、ストレッチ&マッサージ知らずのカラダになれる!?取材・文/井上健二 撮影/千葉 諭 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓(plastic)監修/リン・ロビンソン(Body Control Pilates) 協力/ロハス・インターナショナル

by Lynne Robinson

リン•ロビンソンさんの

83

The Morning

ENERGISINGWorkout

[朝のエネルギッシュ・ワークアウト]

頭の下にタオルを敷き、仰向けで膝を曲げる。両足を腰幅に広げて平行に。骨盤はニュートラル(前傾も後傾もしない自然な状態)、背骨は自然なS字カーブを保つ。両腕を体側で伸ばし、手のひらを床に向ける。数回呼吸して背中や胸郭の隅々まで息を吹き込む。

ACTION ❶胸郭まで深く息を吸い込む。❷息を吐き、腹筋の下部が少し震えるくらい、ジッパーを下から上げるように肛門のまわりにある骨盤底筋群を引き上げる。❸息を吸い、ジッパーを開けるようにコアを緩める。

体幹のセンターに力を引き上げる際、ジッパーの動きをイメージするPOINT

基本ポジションを学ぶ。●リラックスポジション

START

リラックスポジションを取る。頭を支えるように両手を後ろで組む。息を深く吸って準備。

ACTION ❶息を吐きながら、うなずくように頭を優しく上げる。❷床から上半身を曲げて起こし、そのカーブを維持するために胸郭の後ろに息を吸う。❸上体を床に下ろしながら、息を吐く。8回行う。

頭は重いので手で支える。骨盤が下がらないようにニュートラルを保つ。POINT

3腹部を少しずつ動かして強くする。●カール・アップ

START

1

脊柱を一つひとつ動かし、行動的に整える。●スパイン・カール

START リラックスポジションを取る。両足を床にしっかりつけ、背中もアーチができないように床につけておく。胸郭まで深く息を吸い込む。アライメント(姿勢)と動きをコントロールするためにコアを適切に使う(以下同じ)。

START

ACTION ❶息を吐き、尾骨から上へ、肩甲骨のレベルまで背骨を一つひとつ床から引き剥がしながら、ゆっくり骨盤を引き上げる。引き上げたら息を吸う。❷息を吐きながら、背骨を一つひとつマットに戻し、骨盤がニュートラルになるまで脊柱を長く伸ばす。8回繰り返す。

体重は左右の足に均等にかける。足が内側や外側に向かないようにする。POINT

2

寝ている間に固まった筋肉をウェイクアップ!元気に働き、ハードな運動をこなす準備を行う。

まずはリラックスポジションから覚えよう。

84

5猫背を正し、背すじを伸ばして強くする。●ダート→レストポジション

START うつ伏せになり、額に畳んだタオルを当てる。両腕を体側で伸ばし、手のひらを太腿につける。両脚を伸ばし、足を平行に揃える。息を深く吸って準備。

ACTION ❶息を吐き、頭から引っ張られるように頭、首、上背をマットから持ち上げる。同時に内腿を絞る。足は床に下ろしたままで。高く上がりすぎないこと。❷息を吸い、爪先から頭の先までカラダを長く保つ。❸息を吐きながら、頭、首、上背をコントロールしながら下ろす。内腿の緊張を解く。顔は終始下に向けて床を見続ける。6回。❹両腕を前方に伸ばし、手のひらを床に向ける。息を吸ったら、吐きながら腰を曲げて骨盤を起こし、正座をするように坐骨を踵、胸を太腿、額を床に乗せる。❺息を吸い、腹部と骨盤底筋群を完全にリラックスさせる。息を腹部と骨盤底筋群に入れるように数回呼吸する。❻自然に呼吸をしながら、骨盤をカラダの真下に巻き込み、その上に背骨を一つひとつ積み上げ、正座して上体を床と垂直に保つ。両肩を下げる。

❹〜❻のレストポジションで❶〜❸で使ったコアの筋肉を解放してやる。POINT

スポーツで多用される回転動作を鍛える。●ヒップ・ロール

START リラックスポジションを取る。両脚を揃えて内腿をつける。手のひらを上に向け、ハの字を描くように体側で腕を広げる。息を深く吸って準備。

ACTION ❶息を吐きながら、膝と足をつけたまま骨盤と脚を左にひねる。骨盤の右側と肋骨の右下は床から少し離れる。❷息を吸い、ひねった姿勢を保つ。頭はまっすぐにキープ。❸息を吐きながら、骨盤と脚をスタート姿勢に戻す。反対も同様に。左右各5回。

左右の腰の高さは一直線上に保つ。胸と肩を開き、首まわりが緊張しないようにする。POINT

4

働く準備のためにストレッチする。●スタンディング・サイドリーチ

START 背を高く保つ意識でまっすぐ腰幅で立つ。両腕を体側に下げる。息を吸って準備。

ACTION ❶左腕を体側から広げ、頭上にまっすぐ伸ばす。その際、肩甲骨の広がりを感じ、肩がすぼまらないように注意。❷息を吐き、天井へ頭からカラダを伸ばし、脊柱を左側へ曲げる。頭を脊柱の延長線に保ち、大きくひねりすぎない。骨盤は左右水平に保つ。❸ストレッチしている右体側に集中し、胸郭まで息を深く吸い込む。❹息を吐きながら肋骨を閉め、頭を高く保ちながらまっすぐ戻る。❺息を吸い、腕を下ろす。左右各4回。

前後2枚のガラス板に挟まれたように必ず平面で動き、前や後ろに倒れない。腰が落ちないように上体を上げて行う。まっすぐ前を見つめて行う。

POINT

6

コンプレッションスリーブレスモックT3,360円、コンプレッションレギングス5,460円、共にUNDER ARMOUR、問ドーム。

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The Evening

RELAXINGWorkout

[夜のリラックス・ワークアウト]

左向きに横たわり、頭の下にタオルを敷く。両膝を重ね、膝と腰が90度になるよう前方に曲げる。両腕を肩の高さで長く伸ばし、手のひらを向き合わせる。

ACTION ❶息を吸いながら、右腕を天井へまっすぐ上げる。頭と首も回転させる。❷息を吐きながら頭と脊柱上部をさらに右側へ回し、右腕と一緒に大きく開く。膝と骨盤はスタート時のそのまま。❸息を吸いながら、頭と脊柱を左へ回し、肩の上まで戻す。❹息を吐きながらスタート姿勢に戻す。左右各●回。

スタート姿勢で肩、腰、膝、足を上下でブラさず重ねる。骨盤を安定させて長く保つ。背中を反らせたり、ウェストを絞ったりしない。

POINT

2スポーツブラ3,990円、コンプレッションカプリ5,565円、共にUNDER ARMOR、問ドーム。

デスクワークやトレーニングでこわばった背骨と骨盤を動かしてやる。それが緊張や凝りをリセットして疲れを翌日に持ち越さない秘訣。

頭の下にタオルを敷き、リラックスポジション(84ページ参照)を取る。手のひらを向かい合わせにして、両腕を肩幅で肩の真上に上げる。アライメントと動きをコントロールするためにコアを適切に使う(以下同じ)。

ACTION ❶息を吸いながら片腕を天井に向けて上げる。肩甲骨を床から引き剝がす。❷息を吐きながら上げた腕の力を抜き、肩甲骨をマットに戻す。交互に左右各10回行う。

骨盤と脊柱を安定させ、固定する。頭を安定させ、重く保つ。首を長く、かつ緊張させないで保つ。

POINT

マッサージのような効果で肩の緊張をほぐす。●ショルダードロップ

START

上半身を開き脊柱を回転。ゴルファーに最適!●アーム・オープニング

START

床でうつ伏せになり、タオルに額をつける。両脚をまっすぐ腰幅で伸ばし、踵を内側に向けて爪先を伸ばす。手のひらを床に向け、肘を曲げ、肩幅よりやや広く開いて顔の横で構える。息を吸って準備。

ACTION ❶息を吐きながら首の前を長く伸ばし、胸がマットから離れるまで首を持ち上げる。肋骨の下部を床につけたまま、胸を広げてまっすぐ前に向ける。❷息を吸いながら、起き上がったポーズを長く保つ。❸息を吐きながら、崩れ落ちないようにカラダを長くコントロールして胸と頭の順に床に戻す。腕もスタート姿勢まで戻す。10回。

起き上がるとき、脊柱下部(腰椎)を圧迫しないように肋骨の下部を床につけておく。腕はカラダを軽く支えるだけ。腕の力で上体を上げない。

POINT

3デスクワークによる猫背をリセット。●コブラ・プレップ

START

1

86

肩の下に手を、腰の下に膝を置いて四つん這いになる。脊柱は、自然なカーブを描いて長く保つ。息を吸って準備。

ACTION ❶息を吐きながら、尾骨を膝の間に入れるように骨盤を後傾。背中の下部、上部の順に丸め、続いて首、最後にうなずくように頭が丸まるまで続ける。❷胸郭下部に息を吸い込む。❸息を吐きながら同時に脊柱をゆるめはじめ、尾骨を後ろへ動かして骨盤をニュートラルに戻し、頭と脊柱上部を伸ばし、スタート姿勢に戻る。10回。❹両腕を前方に伸ばし、手のひらを床に向ける。息を吸って吐きながら腰を曲げて骨盤を起こし、正座をするように坐骨を踵、胸を太腿、額を床に乗せる。❺息を吸い、腹部と骨盤底筋群を完全にリラックスさせる。息を腹部と骨盤底筋群に入れるように数回呼吸する。❻自然に呼吸をしながら、骨盤をカラダの真下に巻き込み、その上に背骨を一つひとつ積み上げ、正座して上体を床と垂直に保つ。両肩を下げる。

1〜3では肩をすくませないように肩と耳の距離を保つ。手と膝に加わる体重は均等に。POINT

4

両膝を床についてまっすぐに立つ。両膝は腰幅。骨盤をまっすぐ正面を向けて、腕は体側に垂らす。息を吸って準備をする。

ACTION ❶右腕を体側から広げ、肩上に上げる。その際、肩甲骨が動いているのを感じ、肩がすぼまらないように注意。❷息を吐き、天井へ頭からカラダを伸ばし、脊柱を左側へ曲げる。頭を脊柱の延長線上に保ち、大きくひねりすぎない。❸骨盤を正しく保ち、左右の腰に均等に荷重する。❹ストレッチしている右側に意識を集中しながら胸郭にまで息を吸い込む。❺息を吐きながら肋骨を閉め、頭を高く保ちながらまっすぐに戻る。❻息を吸い、腕を下ろす。左右各4回。

前後2枚のガラス板に挟まれたように必ず平面で動き、前や後ろに倒れない。腰が落ちないように上体を上げて行う。まっすぐ前を見つめて行う。

POINT

5

背骨を1個ずつコントロールする。●キャット→レストポジション

START

一日の疲れを取るもうひとつの方法。●ハイニーリング・サイドリーチ

START

背すじを伸ばし、上体を高く保ち、まっすぐ立つ。両足は腰幅に開いて、膝を少し曲げる。両腕は体側に垂らして力を抜く

ACTION ❶息を吸いながら首の後ろを伸ばし、頭が前を向くくらい顎を引く。❷息を吐きながら上から背骨を1個ずつ曲げて上体を丸め、膝を軽く曲げながらさらに心地良い範囲まで上体を丸める。両腕はだらりと垂らす。❸息を吸いながら骨盤を後傾し、戻り始める。❹息を吐きながら背骨を1個ずつ積み上げるように上体を巻き起こし、膝を伸ばしてスタート姿勢に戻る。8回繰り返す。

すべての背骨を滑らかに曲げ伸ばしする。POINT

6肩や腰などの緊張をほぐしてやる。●ロールダウン

START

87

The Weekend

CHALLENGINGWorkout

[週末のチャレンジ・ワークアウト]

ニー・フォールズ・シングルの❶から❷を行う。

ACTION ❶息を吸い、ジッパーを引き上げるようにコアに力を集め、左膝を上げて右膝に揃える。爪先を軽く合わせ、膝は腰幅に離す。❷息をゆっくり吐きながら、左足を床に戻す。腹筋が緩んだり、骨盤が緩んだりしないように。❸息をゆっくり吸い、右足を元に戻す。6回。最初に上げる足を変えて6回。

腹筋下部を使って姿勢を安定させる。他の部位を使わないように、首と肩をリラックスさせる。骨盤のニュートラルポジションを妨げない位置まで膝をなるべく深く曲げる。

POINT

3

リラックスポジションで頭を支えるために頭の下で軽く手を組む。準備のために息を吸う。

ACTION ❶息を吐きながら優しく顎を引き、頭、首をマットから巻き上げる。骨盤をニュートラルにする。❷このカーブを維持するために胸郭の後ろまで息を深く吸い込む。❸息を吐き、骨盤を固定した左脚の膝を体側に開く。❹息を吸いながら膝を元に戻す。続いて右膝も同様に開く。❺息を吐きながら、頭、首、上背の動きをコントロールしながら戻る。5回。

上がるときと戻るときは背骨を1個ずつ動かす。脱力して頭を重くし、手で支える。膝を開くときに爪先も一緒に開く。膝だけの動きにならないように。

POINT

4リラックスポジションを取る。アラインメントと動きをコントロールするためにコアを適切に使う(以下同じ)。

ACTION ❶息を吸い、手のひらを前に向けて両腕を肩の真上まで上げる。❷息を吐きながら耳まで頭上を超えて腕を回す。肋骨は下げ、背骨は安定させたまま。❸息を吸いながら肩の真上まで腕を戻す。胸を開いたまま。❹息を吐き、腕をさらに下ろし、スタート姿勢に戻る。10回。

腕は無理に床までつけなくていい。腕が頭を超えるときに背骨が曲がらないように注意。息を吐きながら胸郭を閉じ、柔らかくすることに集中。

POINT

1時間に余裕がある週末には60分プログラムにチャレンジ。

平日のエクササイズにはない多彩な動きでコアを安定させる。

コアの上部に挑戦するための準備運動。●リブケージ・クロージャー

START

腹筋を働かせ、コアに挑戦する。●カールアップス+ニー・オープニング

START

リラックスポジションで頭を支えるために頭の下で軽く手を組む。準備のために息を吸う。

ACTION ❶息を吐き、徐々に顎を引き、右肩が左足首を向いて床から上がるまで頭、首、上背を斜めに巻き上げる。同時に左足を床で滑らせてまっすぐ伸ばす。骨盤を固定してニュートラルに保つ。❷このカーブを維持するために胸郭の後ろまで息を深く吸い込む。❸息を吐きながら巻き戻る。足もスタート姿勢までスライドさせる。左右各5回。

頭、首、上背を巻き起こすときに肋骨が反対の腰を向くように意識する。POINT

5骨盤の安定性と脊柱の運動性のためのエクササイズ。●オブリーク・カールアップ+ レッグスライド

START

コアの結合を高める。●ニー・フォールズ・ダブル

START

リラックスポジション。息を深く大きく吸い込んで準備する。

ACTION ❶息を吐き、右膝を曲げたまま股関節の真上まで上げる。大腿骨が真下に落ち込むように意識する。骨盤はニュートラルに固定。❷息を吸い、ポーズをキープする。❸息を吐きながらゆっくり右足を床に戻す。左右各5回。

骨盤と背骨をセンターに保つ。他のカラダの部分から切り離し、足だけを動かす。POINT

2コアの安定性のために重要エクササイズ。●ニー・フォールズ・シングル

START

88

うつ伏せで、額の下に畳んだタオルを置く。両腕を体側で伸ばし、手のひらを太腿につける。両脚を真っすぐ伸ばし、爪先を伸ばして足を平行に揃える。息を深く吸って準備。

ACTION ❶息を吐き、頭から引っ張られるように頭、首、上背を床から上げる。同時に内腿を絞る。足は床に下ろしたまま。❷息を吸い、爪先から頭の先までカラダを長く保つ。❸息を吐き、右手を体側で下方へ滑らせる。上半身が右に滑るに従い、胸は床から浮かせる。❹息を吸い、真ん中に戻る。❺左側も同様に行ったら、息を吐きながら頭、首、上背の動きをコントロールしながら下ろす。脚の力を抜いて解放する。3回。

上体を高く上げすぎない。両側のウェストを長く伸ばす。視線はずっと床を見続ける。横に曲がるとき、顔は下を見続ながら背骨と一緒に動く。

POINT

7ACTION ❶8から息を吸い、脊柱を長く伸ばし、足幅

を少し狭める。❷息を吐きながら腰の位置で曲がり始め、お尻を後ろに引く。手のひらを床に置いたまま、腕を長く伸ばす。坐骨を踵、胸は太腿、額を床の上に乗せるのが理想。❸息を吸い、腹部と骨盤底筋群を完全にリラックス。息を腹部と骨盤底筋群に入れ込む。このポーズで数回呼吸する。❹自然に呼吸しながら、骨盤をカラダの下部に巻き込み、背骨を下から1個ずつ積み上げ、上体を垂直にして正座。両腕を体側に下げる。

9

肩の真下に手、股関節の真下に膝が来るように四つん這いに。脊柱は、自然なS字カーブを描いて長く伸ばす。

ACTION ❶息を吸い、左手を床から上げ、手のひらを上向きに返す。右腕と交差させるように床で左腕を右側へ伸ばし、同時に頭と胸郭も右へ回転する。❷息を吐き、支えている右肘を曲げる。腰から体幹を大きく回転させ、左肩と左耳を床に近づける。❸息を吸い、動きをコントロールしながらスタート姿勢に戻る。❹カラダを調整するため少し時間を空けて右側も同様に。左右各5回。

回転する際、脊柱を長く保ち、曲げたり、反らしたりしない。POINT

8

両脚を揃えて立ち、内腿をつけて平行に。脊柱を伸ばし、上体を高く保つ。骨盤はニュートラルにする。息を吸って準備。

ACTION ❶息を吐き、重心を左足に移し、骨盤をできるだけニュートラルを保ちながら右足を曲げ、腰の高さくらいまで膝を引き上げる。❷息を吸いながら、この姿勢を長く安定させて保つ。❸息を吐き、右足をスタート位置まで戻し、体重を両足均等にかける。左右5回。

骨盤を胸郭に向かって持ち上げないように。上手にできたら、目を閉じて行ってみよう!POINT

10

うつ伏せになり、両脚を腰幅でまっすぐ伸ばし、股関節から外側に向ける。右腕を曲げ、その手のひらに額を載せる。左腕は床で肩幅より少し広く開く。息を吸って準備。

ACTION ❶息を吐きながら頭、首、上背を上げる。右腕は頭と一緒に上げる。同時に左脚を長く伸ばし、床から数cm上げる。骨盤はニュートラルに保つ。❷息を吸ってポーズを保つ。❸息を吐きながらスタート姿勢に戻る。4回繰り返したら、反対側も4回。

腰は両側を床につけたままにする。まっすぐ伸ばした腕も床に置いたまま。脚は高く上げすぎないように気をつける。

POINT

6背骨をコントロールし、骨盤を安定させる。●スターバリエーション

START

背中をコアでサポート。ケガを予防。●ダート→サイド・ベント

START

脊柱を動かし、骨盤をコントロール。●スレッドニング・ア・ニードル

START

バランスとコアをコントロール。●スタンディング・オン・ ワン・レッグ

START

コアの筋肉を使ったら解放する。●レストポジション

女/スポーツブラ3,990円、コンプレッションカプリ5,565円、男/コンプレッションスリーブレスモックT3,360円、コンプレッションレギングス5,460円、以上UNDER ARMOUR、問ドーム。

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ロビンソンさんが提案するボディ・コントロール・ピラティスでもっとも重視しているのは、センタリング=コアの安定性。コアとは、リンゴの芯のようにカラダのセンターを貫いている目に見えない動きの軸である。センタリングの最終的な狙いは、安定した軸から動きを自在にコントロールする能力を高めることだ。具体的にコアを構成するのは、骨格に近い深層で関節の動的安定性に関わるインナーマッスル(深部筋)。「ほとんどのエクササイズは表面的なアウターマッスルにフォーカスしており、コアで働くインナーマッスルを無視しています。でも、インナーが弱いのにアウターのみを鍛えるのは砂の上に家を建てるようなもの。内部の関節などに問題が出て故障を招く恐れがありますし、せっかくのパワーを正しく使えないためにパフォーマンスもダウンするのです」コアを構成するインナーマッスルは腹筋群と背筋群からなる体幹部の〝円柱(シリンダー)〟、円柱の上部で呼吸に関係する横隔膜、円柱の底を支える骨盤底筋群。ピラティスで鍛えるとこれらの協調性が良くなり、腹圧が上がり、安定性が高くなる。インナーは本来意識もコントロールもしにくいが、ピラティスを正しく続けるとまるで調光スイッチでリビ

リン・ロビンソンさんに登場していただき、アスリートとピラティスの関わりについて教えてもらおう。「チェルシーFCでピラティスの指導を始めたのは怪我の予防とリハビリテーションがきっかけ。フットボーラー(サッカー選手)は外側の筋肉は立派ですが、コアの筋肉が弱い選手が少なくありません。コアの弱さは怪我の原因。さらに、コアを鍛えるとパフォーマンスが上がると実感した選手たちが、ピラティスに前向きに取り組むようになりました」チェルシーを代表するスター選手、アシュリー・コールもロビンソンさんの指導を熱心に受けているフットボーラーの一人。チェルシーでの成功を受け、英国内ではクリケット、ボート、ラグビーといった国民的に人気の高い競技にもピラティスを取り入れるチームが増えてきた。

ングの灯りを調整するように、コアを自在に細かく操れるようになる。「日常生活でもスポーツでもインナーマッスルを使う機会は少ないので、多くの方はコアが衰えています。そんな人がインナーの動きのパターンを覚えるには1万回以上の反復練習が必要とされています。でも、毎日30分でも少しずつ続けるとカラダの変化が実感できてピラティスに前向きになれますし、運動の怪我の予防とパフォーマンスアップにつながると思います。そうすれば一生ストレッチもマッサージも不要なカラダに変身できるかもしれませんよ(笑)」

スリートのためのスペシャルプログラムを試してもらったところで、再びア

コンプレッションスリーブレスモックT3,360円、コンプレッションレギングス5,460円、共にUNDER ARMOUR、問ドーム。

Lynne Robinsonリン・ロビンソンヨーロッパ最大級のピラティス教師養成機関であるボディ・コントロール・ピラティス・アソシエーション理事。『ザ・タイム』から

"クイーン・オブ・ピラティス"と評されたこともあるピラティス指導の第一人者である。彼女の書籍やビデオは世界13か国以上で販売されている。俳優のヒュー・グラントもクライアントの一人。

安定した軸を作り、コアから動きをコントロールする

PRINCIPLES

ボディ・コントロール・ピラティスの8大原則。

リラクセーション(緊張緩和)1

コンセントレーション(集中)2

アラインメント(調整)3

ブリージング(呼吸)4

センタリング(コアの安定)5

コーディネーション(協調)6

フローイング・ムーブメント(流れるような動き)

7

スタミナ(持久力)8

ボディ・コントロール・ピラティスの3本柱といえるのはコアセンタリングの他、アライメントとブレージング。その他5つ、上記のようにトータル8つの基本ルールがある。

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