33
資料5 我が国の環境経営の動向 1. 環境経営を巡る国際的経緯と国内の動向 2. 環境政策の変遷と産業環境対策の流れのイメージ 3. 環境問題の変遷と企業経営の変化のイメージ 4. 環境マネジメントシステム(EMS)規格化の経緯と動向 5. 企業の社会的責任(CSR)関連の国際的取組みの動向 6. ISO及びEMASの取得状況 7. 我が国におけるISO取得状況 8. 中小企業に対するEMS取得支援策の状況 9. ISO取得の背景と効果 10.企業グループによる環境経営促進の取組み事例 10 大手企業による地元企業へのコンサルティング活動 10 (1) 環境パートナーシップ・CLUB(EPOC) 11 (2) 11.環境報告書・環境会計の活用状況 12 12.LCA・DfEの活用状況 13 13.環境ラベルの状況 14 14.環境効率(ファクター)への取組み状況 15 15.グリーン購入ガイドラインの策定状況 16 16.サプライチェーンを通じた環境経営への要請 17 (参考)電機メーカー6社の環境配慮の要請項目 18 17.地方自治体におけるグリーン調達や環境経営支援の状況 20 18.グリーン購入・調達の状況 21 19.消費者のグリーン購入に対する意識 22 20.環境経営の外部評価の状況 23 21.我が国における環境経営の評価・格付の動向 24 22.消費者による環境経営と企業評価 25 23.我が国におけるエコファンドの状況 26 24.諸外国におけるSRIファンドの状況と日本との比較 27 25.欧州における市場のグリーン化の動向 28 (参考)RoHS指令案の概要 29 26.米国における市場のグリーン化の動向 30 27.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(海外) 31 28.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(国内) 32 29.省エネ・リサイクル支援法のスキーム 33

コピー ~ 資料5の1、4~22 - METI資料5 我が国の環境経営の動向 1.環境経営を巡る国際的経緯と国内の動向1 2.環境政策の変遷と産業環境対策の流れのイメージ2

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  • 資料5

    我が国の環境経営の動向

    1. 環境経営を巡る国際的経緯と国内の動向 1

    2. 環境政策の変遷と産業環境対策の流れのイメージ 2

    3. 環境問題の変遷と企業経営の変化のイメージ 3

    4. 環境マネジメントシステム(EMS)規格化の経緯と動向 4

    5. 企業の社会的責任(CSR)関連の国際的取組みの動向 5

    6. ISO及びEMASの取得状況 6

    7. 我が国におけるISO取得状況 7

    8. 中小企業に対するEMS取得支援策の状況 8

    9. ISO取得の背景と効果 9

    10.企業グループによる環境経営促進の取組み事例 10

    大手企業による地元企業へのコンサルティング活動 10(1)環境パートナーシップ・CLUB(EPOC) 11(2)

    11.環境報告書・環境会計の活用状況 12

    12.LCA・DfEの活用状況 13

    13.環境ラベルの状況 14

    14.環境効率(ファクター)への取組み状況 15

    15.グリーン購入ガイドラインの策定状況 16

    16.サプライチェーンを通じた環境経営への要請 17

    (参考)電機メーカー6社の環境配慮の要請項目 18

    17.地方自治体におけるグリーン調達や環境経営支援の状況 20

    18.グリーン購入・調達の状況 21

    19.消費者のグリーン購入に対する意識 22

    20.環境経営の外部評価の状況 23

    21.我が国における環境経営の評価・格付の動向 24

    22.消費者による環境経営と企業評価 25

    23.我が国におけるエコファンドの状況 26

    24.諸外国におけるSRIファンドの状況と日本との比較 27

    25.欧州における市場のグリーン化の動向 28

    (参考)RoHS指令案の概要 29

    26.米国における市場のグリーン化の動向 30

    27.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(海外) 31

    28.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(国内) 32

    29.省エネ・リサイクル支援法のスキーム 33

  • 1.環境経営を巡る国際的経緯と国内の動向

    国 際 商 業 会 議 所 (ICC:International Chamber of Commerce)¡ 1991年、16 の原則からなる『持続可

    能な開発のための産業界憲章』を提言

    ¡ 併せて、ICC環境監査ガイドを発表

    ¡ 経団連、1991 年 4 月に経団連地球環境憲章を発表

    ¡ 環境への取り組みが自らの存在と活動に必須の要件であるとして、環境経営方針の明確化と社内管理体制の整備を含む11の行動指針を発表

    持続可能な開発のための産業人会議(BCSD:現WBCSD)

    ¡ 産業におけるSustainableTechnology の推進のためには環境パフォーマンス等の国際規格化が有効

    ¡ 規格化の機関としてはISOが適切

    国連環境開発会議(UNCED)¡ 1992年6月、リオ・サミット開催¡ リオ宣言及びアジェンダ21を採択

    持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)

    ¡ 2002年8~9月、ヨハネスブルグ・サミット開催

    ¡ ヨハネスブルグ宣言のなかで“企業が平等で持続可能なコミュニティと社会の進展に貢献し、説明責任を果たすこと、ガバナンスを強化・改善すること”に言及

    ¡ 経団連、1996 年 7 月に経団連環境アピール(21 世紀の環境保全に向けた経済界の自主行動宣言)を発表

    ¡ 具体的計画分野は、・ 地球温暖化対策・ 循環型社会の構築・ 環境管理システムの構築と環境監査・ 海外事業展開にあたっての環境配慮

    ¡ 産業毎の環境自主行動計画を策定(1996、97 年)し、現在まで 4 度にわたってフォローアップ

    ¡ 1992年10月、通産省(現経済産業省)が産業界に環境調和型企業行動をすすめる「ボランタリープラン」の作成を要請

    < 国 際 的 な 動 き > < 我 国 の 動 き >ブルントラント委員会(1987年)“持続可能な開発”の概念を提唱

    我国からも7社の経営

    トップが参加

    持続可能な開発に向けた企業としての積極的な取組みの方向を示すものとして、国際商業会議

    所が1991 年に環境管理に重点を置いた『持続可能な開発のための産業界憲章』を発表し、これ

    が1992年のリオサミット、2002年のヨハネスブルクサミットにおける企業の環境マネジメント

    の強化の流れへとつながるとともに、ISOにおける環境マネジメント規格の開発へとつながっ

    ていった。

    我が国でも、これと呼応するように、1991 年に経団連が『経団連地球環境憲章』を発表し、

    環境経営方針の明確化と管理体制の整備をうたい、ISO認証取得の流れとも合致し、その後の

    自主的取組強化の流れへとつながるところとなった。

    ISOによる環境マネジメント

    規格の制定へ

  • 2.環境政策の変遷と産業環境対策の流れのイメージ1960~1970年代

    大気・水質等の産業公害が社会問題化

    (例:4大公害)

    1980~1990年代前半

    地球環境問題(温暖化・オゾン層破壊)の顕在化(参考:88年IPCCパネル設立)と廃棄物・リサイクル問題、化学物質問題の発生。環境汚染による企業経営への損害も明確化(例: 89年エクソンバルディーズ号事件)

    1990年代後半~現代

    地球温暖化、廃棄物・リサイクル、化学物質対策というあらゆる社会経済活動に起因する環境問題に対する意識の定着(参考:97年経団連自主行動計画)

    将来

    社会市場における環境に対する要求は一層拡大する見込み

    産業界に環境対策をBuild in

    「公害国会」における大気、水質等の規制法の制定

    ・公害対策基本法(67年)・大気汚染防止法(68年)・水質汚濁防止法(70年)・悪臭防止法(71年)・公害健康被害の補償などに関する法律(73年)(規制手法の拡大)

    End of Pipe技術(脱硫、脱硝等)の導入のための技術開発支援、設備投資助成

    産業支援

    市場

    環境経営はコストであり企業活動の行うための義務

    持続可能な発展を実現するための産業活動のあり方が、世界的に議論。持続可能な経営の必要性が問われる。環境対策から環境保全経営へ

    ・リサイクル法(91年)により企業の自主的取組みを求める手法導入

    ・特定有害廃棄物などの輸出入等の規制に関する法律(92年)

    ・環境基本法(93年)・容器包装リサイクル法(95年)による市民、自治体、事業者による契約リサイクル体制

    (自主的取組みの一部導入)

    ・自主的な取組みを求める対策手法の導入及び企業における自主的取り組みの開始

     -90年地球温暖化防止行動計画 -90年廃棄物・リサイクルガイドドライン -91年経団連地球環境憲章 -各企業における地球環境憲章等の策定

    ・省エネリサイクル法(93年)に基づく技術的な生産設備への助成

    ISO1400シリーズをはじめとする経済界の自主的な環境経営の拡大(参考:登録機関数は02年9月末9929社)

    (産業競争力としての自主的環境経営が市場で拡大。)

    ・化学物質排出把握管理促進法(99年)による自主的化学物質管理の改善の促進

    ・循環型社会形成推進基本法(2000年)

    ・廃棄物リサイクル法制の完全整備

    (情報開示手法の導入)

    ・エコタウン制度によるリサイクル事業化支援

    ・3Rプログラム等環境技術問題の体系的推進

    ・環境レポーティングガイドライン(01年)

    ・環境経営の推進

    ・新たなビジネスモデルの

    推進

    ・環境調和型製品・サービス

    の供給の拡大

    技術開発の推進

    ・ITを利用した市場の創造

    ・廃掃法を含めたリサイクル

    関連法制度の適切な規制

    改革・整備・運用

    (産構審循環ビジネスWGより)

    環境問題の歴史

    環境政策の歴史

    ・エコファンドへの注目(99年)

    ・金融機関による企業の環境リスク評価の開始

    ・市場に影響を与える環境団体の活発化 -グリーンピースの活動の拡大 -緑の党が国政選挙で議席を確保

  • 3.環境問題の変遷と企業経営の変化のイメージ

    法規制による環境対策の実施

    (好む好まざるに係わらず受け身の環境経営)

    「予防措置が経済的」との意識から「環境保全」

    (将来損するより、今ガマンの環境経営)

    市場が企業の自主的な環境配慮を求める中「環境経営」が拡大

    (競争力のための環境経営)環境経営の更なる進展

    企業の環境経営の変化・コスト回収を意図しない公害

    対策投資を義務的に実施

    ・国は企業のコスト負担軽減のため助成(税、低利融資、補助等)

    ・ただし、日本の場合、結果的に省エネ効果等の競争力強化に寄与

    ・地球温暖化対策、リサイクル法やそのガイドライン、経団連地球環境憲章に見られる企業の自主的取組みが拡大

    ・ただし、企業意識としてはガマンの経営か。

    ・ISO14001や各種環境指令により環境市場を指向するEUにおける企業競争を意識する電機・機械メーカーを中心に環境経営が進展

    ・企業経営の本質的な面において環境対応を企業行動にビルドインしない限り、勝負できない時代に

    ・欧州市場等に比較して、国内市場の環境化は遅れているのが現状

    ・自主的な環境経営を促進させるための支援等が必要

    1960~1970年代

    大気・水質等の産業公害が社会問題化

    (例:4大公害)

    1980~1990年代前半

    地球環境問題(温暖化・オゾン層破壊)の顕在化(参考:88年IPCCパネル設立)と廃棄物・リサイクル問題、化学物質問題の発生。公害問題による企業経営への損害も明確化(例: 89年エクソンバルディーズ号事件)

    1990年代後半~現代

    地球温暖化、廃棄物・リサイクル、化学物質対策というあらゆる社会経済活動に起因する環境問題に対する意識の定着(参考:97年経団連自主行動計画)

    将来

    社会・市場における環境に対する要求は一層拡大する見込み

    環境問題の歴史

  • 4.環境マネジメントシステム(EMS)規格化の経緯と動向

    ¡ 1992年、イギリス規格協会(BSI)が環境管理システム規格BS7750を制定(発効は1993年)

    ¡ EUで、1990年12月より環境監査スキームの検討が開始され、1993年7月にEC規則『環境管理・監査スキーム(EMAS)』が成立(1995年4月より発効)

    ¡ EU、2001年7月にグリーンペーパー“Promoting aEuropean frameworkfor Corporate SocialResponsibility”を発表し、社会的責任投資スクリーニング基準の標準化・共通化、透明性を向上に言及

    ¡ ISO理事会、2001年5 月にCOPOLCO(消費者政策委員会)に対して、企業の社会的責任規格の必要性について諮問

    ¡ COPOLCOではCSR規格必要性を答申

    ¡ 1993 年 1 月、ISO/TC207 が設置され、環境マネジメントシステムに関する規格化作業がスタート

    ¡ 1996 年の環境マネジメントシステム・環境監査規格を皮切りに順次規格を発行

    ¡ 当初予定していた約25の規格をほぼ作成し終えて、規格改訂作業を含め新たな段階へ・ 環境マネジメントシステム規

    格について ISO9001 とのコンパティビリティを図る

    ・ 環境監査規格について品質マネジメントシステム監査との統合を図る

    ・ 環境コミュニケーション規格を検討スタート

    BCSDが環境パフォーマンス等の国際規格化と

    ISOによる検討を提言

    BS規格がISO/EMS規格のベースに

    ISOにおける環境マネジメントシステムの規格化検討は、ISO/TC207 で 1993 年にスタート

    している。現在、TC207は当初予定していた約 25の規格を作成し終えて、14000シリーズ(環境

    マネジメント)と 9000シリーズ(品質マネジメント)の整合性の向上及び統合、『環境コミュニ

    ケーション規格』の検討など新しい段階にさしかかっている。

  • 5.企業の社会的責任(CSR)関連の国際的取組みの動向

    ◎CSR関連の宣言・規格等

    名称 性格 特色 テーマWHITE PAPER 366(2002年欧州委員会)2004 年中期までにCSR管理基準を作成

    法令作成のための公開試案

    欧州域内外でいかに EUが CSR を推進できるかについて、広く議論を促すことを目的に欧州委員会が作成した文書。2001年GREENPAPERを改定。企業の内部的側面や外部的側面からCSR を規定すると共に、CSRに対する全体的アプローチを提唱している。

    地域貢献コーポレートガバナンス環境、人権消費者従業員贈収賄

    The Global Compact(2000年国連事務総長)

    1999年ダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、アナン国連事務総長により提唱された(発足は翌年)。人権・労働・環境分野に関する9原則は、世界人権宣言、労働に関する ILO基本原則、環境と開発に関するリオ原則に基づく。

    地域貢献環境人権労働従業員

    OECD 多国籍企業ガイドライン(1976年 2000年改定OECD)

    加盟国政府が多国籍企業に対して一定の企業行動のあり方を勧告する指針。元々は「OECD国際投資多国籍企業宣言」の付属書として作成された。

    地域貢献コーポレートガバナンス環境、人権労働、消費者従業員、贈収賄

    コー円卓会議企業行動指針(1994年Caux Roundtable)

    企業行動原則

    企業が社会の信頼を獲得し、建設的な貢献を果すとともに、様々な摩擦問題を解決するには、まず企業自らが行動を律することが基本であるとの認識に基づき、コー円卓会議により策定された。日欧米の民間企業経営者が共同で策定した初めての企業行動指針。

    地域貢献コーポレートガバナンス環境、人権消費者従業員贈収賄

    GRIガイドライン(2000年 国際任意団体GRI)

    報告書作成のためのガイドライン

    環境的側面だけでなく、社会的側面、経済的側面の3者をトリプル・ボトムラインとして報告するよう求める報告書作成に関するガイドライン。利用は各企業の自由意思に基づき、ガイドラインに適合して作成された報告書はGRI報告書と呼ばれる。

    地域貢献コーポレートガバナンス環境、人権労働消費者従業員

    SocialAccountability8000(1997 年米任意団体CEP)

    規格

    特に発展途上国における不公正かつ非人道的な労働行為(児童労働、強制労働等)を撤廃することを目的とした、人権や倫理の分野では初めての国際規格。ISO9000・ISO14000等の品質・環境規格から派生した。

    コーポレートガバナンス人権労働従業員

    AccountAbility 1000(1999年 英専門機関社会倫理説明責任研究所)

    規格(プロセス)

    社会的・倫理的な会計、監査及び報告の質的向上を通じて組織の説明責任と全体的パフォーマンスを改善することを目的とする規格。改善プロセスを規定するものであり、パフォーマンスの水準は規定しない。ステークホルダーの参画を説明責任の明確化プロセスの中核に置く。

    枠組みの提示のため具体的テーマは明記されていない。

    Ethics ComplianceStandard 2000(1999 年 2000 年改定 麗澤大学)

    規格(マネジメントシステム)

    組織が法令を遵守し、倫理の実践を推進する上で、どのようなマネジメントシステムを構築すれば良いかを体系的に示す企業倫理に関する規格。具体的に遵守すべき法令等や社会的責任遂行のための実践事項は規定せず、マネジメントプロセスに関する規定のみを設ける。結果ではなく、プロセス及び継続的改善を重視する。

    枠組みの提示のため具体的テーマは明記されていない。

    ※その他、豪州AS3806(遵守プログラム)、仏国AFNOR(企業と持続的成長、公正貿易)、イスラエルSII1000(社会責任と社会連帯)、 西国PEN(倫理-企業倫理マネジ メントシステム)、米国EOA(企業行動マネジ メントシステム)がある。 (出所)経団連海外事業活動連絡協議会資料をもとに作成

    企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に関して、EUレベルで法令

    作成のための試案が公表されており、またISOでもCSR規格の必要性の議論がスタートする

    など、環境面だけにとどまらず、社会面まで含めた企業マネジメントシステムの規格化・標準化

    に向けた動きが加速している。

  • 6.ISO及びEMASの取得状況

    図1  ISO14001審査登録件数

    図2  EMAS登録件数

    ISO14001とEMASとの比較ISO14001 EMAS

    環境パフォーマンスの継続的改善 暗示的 明示的環境初期審査 規定なし 規定有り技術上の選択肢 限定せず EVABAT(最善の技術の利用)を要求環境に関する情報の公表 環境方針のみ 環境声明書

    (環境方針、環境影響、環境パ フォー マンス)環境声明書の検証 規定なし 要求監査の頻度 規定なし 規定ありロゴ なし あり

    (参考)JETRO「ユーロトレンド」No.44(2000.12)

    世界計36,765件(2001年12月末現在 ISO調査)

    (出所)日本工業標準調査会ホームページ

    計3,869件(2001年8月6日現在)

    (出所)欧州委員会EMASヘルプデスクの公表値に基づき作成

    ISO14001の国際的な審査登録数は、2001年12月末現在で36,765件であり、日本が 8,123件

    (2002年8月末現在では9,929件)で世界全体の 22%を占めるに至っている。一方、EUのE

    MAS(Eco Management & Audit Scheme)については、2002年8月現在、登録数が3,869件で

    あり、その増加ペースは最近は極めて緩くなっている。その背景としては、EMAS登録がヨー

    ロッパ以外に拡大していないこと、ISO14001 の方が相対的に取得が容易で利用価値が高いこと

    などがあげられている。

    スウェーデン:212件デンマーク:152件

    イタリア:94件イギリス:83件

    ノルウェー:64件フィンランド:42件

    フランス:32件

    その他※:63件

    スペイン:225件

    オーストリア:369件 ドイツ:2533件

  • 7.我が国におけるISO取得状況

    我が国のISO14001審査登録件数は2002年8月末現在で総数9,929件に上っており、着実なペ

    ースで増加している。その内訳を主な業種別に見ると「電気機械」が1,462件(14.7%)と最多

    で、以下、「サービス業」882件(8.8%)、「化学工業」796件(8.0%)などが続いている。最近

    は、地方自治体の件数も拡大中(386件 3.9%)

    (出所)JSA(財団法人日本規格協会)HP(2002.10)

  • 8.中小企業に対するEMS取得支援策の状況

    簡 易 E M S の 事 例

    自治体等 名称 審査制度環境方針要求

    システム構築重視

    パフォーマンス重視

    備考

    京都市 KES ○ ○ ○ -

    京(みやこ)のアジェンダ21フォーラムKESマネジメントシステム・スタンダード認証事業

    名古屋市エコ事業所認定制度

    ○ ○ △ ○ エコ事業所認定審査会

    岡崎市岡崎版事業所環境ISO

    - △ - ○ 金額換算できる

    東京都事業活動エコ・アップ

    - △ - ○環境確保条例発効と同時に登録受け付け終了

    大阪府エコアクション宣言

    - - - ○環境省プログラム準拠・横浜市を参考

    京都府エコ京都21認定・登録制度

    △ - - ○京都府(学識経験者等で構成する審査会)・3部門制度

    環境省環境活動評価プログラム

    - - - ○

    ※システム構築重視とは: PDCAに基づく環境管理のしくみが構築されていることを重視し、運用の結果について評価しないもの。※パフォーマンス重視とは: 具体的な環境保全の取組内容をあげ、それについての定量的な目標が達成させることを評価するもの。

    ISOに比較して規格の内容がより平易で取り組み易く、低コストで取得できる中小企業向け

    の独自の規格認証制度が創設・運営されている。

  • 9.ISO取得の背景と効果

    図1  ISO14001審査登録の際に重視した目的

    図2  認証取得の具体的成果

    図3  認証取得の効果

    (出所)「環境マネジメントシステム運用状況調査報告書」、JAB(1999.12、2001.12)

    11.5

    16.8

    37.5

    25.1

    19.8

    16.9

    12.5

    25.0

    10.8

    11.5

    7.4

    9.1

    7.3

    8.1

    7.0

    32.1

    22.9

    18.7

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    第3位(n=1,068)

    第2位(n=1,072)

    第1位(n=1,074)

    社会的責任 企業イメージの向上 地球環境への配慮

    経営基盤(システム)の強化 マーケットニーズや顧客の要求への対応 その他

    0 10 20 30 40 50 60 70

    その他

    環境改善活動の推進体制整備

    改善活動の定着化

    環境パフォーマンスの向上

    トップ、管理者、従業員の意識の向上

    0 10 20 30 40 50 60 70

    その他

    取引上のパスポート取得

    地域住民等の利害関係者からの評価

    コスト低減

    法規制遵守・環境リスク回避

    環境改善活動の体制整備

    企業イメージアップ

    (財)日本適合性認定協会(JAB)が国内のISO14001 取得組織に対して実施したアンケート

    調査によれば、審査登録の際に重視する目的は、「社会的責任」、「地域環境への配慮」、「企業イ

    メージの向上」であり、具体的成果としては、「トップ、管理者、従業員の意識向上」、「環境パ

    フォーマンスの向上」があげられ、マクロ的な効果として「企業のイメージアップ」、「環境改善

    活動の体制整備」があげられている。

  • 10.企業グループによる環境経営促進の取組み事例

      (1) 大手企業による地元企業へのコンサルティング活動

    <事例1:省エネルギー診断(E社)>

     2000年度から開始された地域企業を対象とした取組み。2001年度は5社に対して実施。地元企業に

    無料でコンサルティングを行うこの活動は、受診企業から「省エネの取組みの方向性が見えた」と好

    評であるという。

    <事例 2:販売パートナー企業の環境管理活動支援(N社)>

     N社製品を取り扱う販売店をはじめとするパートナー企業への支援施策として、パートナー各社がイ

    ンターネットを活用することで、短期間での ISO14001(環境 ISO)認証取得と効率的な環境管理システ

    ムの日常運用を実現するサービスを本年11 月から提供する予定。

    <事例 3:リユースマーケット売上金を地元自治体の基金に寄付(F社)>

     廃棄物ゼロを目指した活動の一環として、休憩時間と就業後 1 時間を利用して、従業員の家庭にあ

    る遊休品を集めた「リユースマーケット」を実施。収益金については、地元市の「市民しあわせ基金」へ

    の寄付、および地元工場の緑化資金とした。

    ○ 地域密着型の活動を展開するため、地元の各種団体と提携し、多様な取組みがなされ

    ている。

    ○ 系列企業を含めたグループとしての取組みが強化されている。

    ○ 地域における生活者の一員として、企業の枠を超えた活動も見られるようになってい

    る。

    出典:E社HPより

  • 10.企業グループによる環境経営促進の取組み事例

       (2) 環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)

    <環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)の概要>産業界の環境オピニオンリーダーが中心となり、エコ・エフィシェンシー(環境効率性)の実現を追及

    するとともに、中部圏から環境対応に関する様々な情報を発信し、世界に誇れる環境先進地の形成と安全かつ快適な「環境型経済社会」の構築を目指している。2002年8月現在、会員数は310社(者)である。

    <平成 14 年度活動計画(抜粋)>

    1.環境経営手法の開発・普及

    ・ 環境宣言企業システムの行動標準化 年 6 回(継続)

    ・ 環境宣言企業システムの PR、メリットづくり 随時(継続)

    ・ 環境経営スタンダードの研究開発 年 5 回(新規)

    2.エコ・エフィシェンシーへの挑戦

    ・ スーパーエコタウン構想研究会 年 5 回(新規)

    ・ ゼロエミッション診断キャラバン 年 5 回(新規)

    ・ 省エネルギー診断マニュアル研究会 年 5 回(新規)

    ・ エネルギー対策技術セミナー 年 3回(新規)

    ・ 土壌修復技術マニュアル作成研究会 年 5回(新規)

    ・ 土壌回復技術事例セミナー 年 1 回(継続)

    <「EPOC環境宣言企業」>

    会員企業が、環境への取組みを自己宣言し、それを誰もが閲覧・問い合わせできるという仕組みを

    構築。

    ○ 中部圏300社強の企業が個々の企業における環境活動の枠を越え、会員が相互に連携。

    ○ 環境経営の実践に向けた手法や評価システムを共同で開発し、学習。

    ○ 企業が共通の枠組みで、環境への取組み状況を宣言するための仕組みを構築。

    出典;EPOCホームページ

  • 11.環境報告書・環境会計の活用状況

    (出所)図1、2とも『平成13年度 環境にやさしい企業動向調査』、環境省(2002.7)

    図1  環境報告書作成企業数の推移

    169 197270

    430

    579

    6.5 7.4

    9.8

    16.0

    20.0

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度

    作成企業数

    0.0

    5.0

    10.0

    15.0

    20.0

    25.0

    作成企業割合    (%)

    作成企業数 作成企業割合

    図2  環境会計の導入状況

    13.2

    16.9

    24.5

    20.0

    51.5

    50.1

    8.0

    8.6

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    平成12年度(N=2,898)

    平成13年度(N=2,689)

    既に導入 導入を検討 導入しない 環境会計を知らない 環境会計について関心がない その他 回答なし

    環境省が平成3年度から実施している「環境にやさしい企業行動調査(平成13年度)」によれ

    ば、環境情報の公開に取り組む企業が企業規模を問わず増加している。環境報告書を『作成して

    いる』企業は平成 13年度で、回答企業2,898社の20%、『作成予定』の企業が 12%となってお

    り、平成14年度には約900 社に達するものと推定される。また、環境会計を『既に導入してい

    る』企業は 16.9%とまだ少ないが、平成12年度より3.7ポイント増加しており、着実に増加し

    ている。

  • 12.LCA・DfEの活用状況

    製品アセスメントの項目例グレードアップ性 省エネルギー

    化使用時の省エネルギー化

    使用時の省エネルギー消費エネルギー及び効率の明示

    パーツの長期供給 処理時の汚染物質発生の回避

    修理・保守の容易性 環境汚染性物質部品の分離性

    製品の長寿命化

    耐久性

    有害物質への対策

    環境汚染性物質部品の適正処理

    製品の小型化・軽量化 適正処理の情報提供再生資源の利用 不適正処理の防止

    使用原料削減

    消耗品等の消費抑制

    環境保全性

    適正処理の支援

    中間処理の容易性再生資源の利用 有害物質の回避再利用の促進(包装簡易化)

    処理施設の損傷対策(爆発、腐食等)

    (省エネルギー化)

    処理時の安全性

    作業者の安全回収運搬容易化

    安全性

    使用時の安全性 使用時の安全性分解分離容易化破砕減量容易化

    分別作業の容易化分別容易化機械選別の容易化素材の選択再資源化材料の統一

    省資源性

    エネルギー化

    製品を開発する際に、生産及び使用の過程における環境負荷の低減や使用後のリサイクル等の

    可能性まで視野に入れて設計を行う手法をエコデザインもしくは環境配慮設計(DfE:Design

    for Environment)という。環境配慮設計のポイントについては、いくつかのガイドラインが存

    在する。

    また、環境配慮設計の実施にあたっては、原料の採取から廃棄に至る製品のライフサイクル全

    体にわたる環境負荷を把握した上で、より負荷の少ない設計を行うことが求められる。そのため

    の手法がライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)である。LCAに関

    しても、ISO14000シリーズのなかでその手法の規格化(ISO14040-43)がなされているとともに、

    LCA実施のための基礎データとなる我国の実態を反映したインベントリデータの整備やイン

    パクト評価のための検討が国家プロジェクトとして進められている。

    (出所)「製品アセスメント一般指導書作成事業報告書」、

    (財)クリーン・ジャパン・センター(平成10年3月)

  • 13.環境ラベルの状況

    タイプ ISO規格等 特  徴 内  容 我国の状況

    タイプⅠ

    ISO14024環境ラベル及び宣言-タイプⅠ環境ラベリング-原則及び手順

    第三者認証による環境ラベル

    ・ 第三者実施機関によって運営

    ・ 製品分類と判定基準を実施機関が決める

    ・ 事業者の申請に応じて審査して、マーク使用を認可

    ・ 国際ネットワーク組織、GEN(GlobalEcolabelling Network)に、我国からは(財)日本環境協会(エコマーク)が加盟している

    タイプⅡ

    ISO14021環境ラベル及び宣言-自己宣言による環境主張(タイプⅡ環境ラベリング)

    事業者等の自己宣言による環境主張

    ・ 事業者等が製品やサービス等の環境への配慮を主張するもの

    ・ 第三者による判断は入らない

    ・ 業界団体等が実施するラベルとしては、『グリーンマーク(古紙利用製品が該当:(財)古紙再生促進センター)』、『PCグリーンラベル(基準を満たすパソコンが該当:(社)電子情報技術協会)』などがある

    ・ 個々の事業者が実施するラベル制度も多数存在するが、家電製品やパソコンといった電気・電子製品、文具・事務用品、繊維製品を対象としたものが多い。また、一定の基準を満たす製品にマークを表示する制度だけでなく、製品の環境情報をマークと併せて表示する制度もある。

    タイプⅢ

    TR14025環境ラベルタイプⅢ一定量的環境情報表示のラベル

    製品の定量的な環境情報を表示

    ・ 定量的データを表示

    ・ 合格・不合格の判断はしない

    ・ 判断は購買者に任される

    ・ (社)産業環境管理協会(JEMAI)において、『エコリーフ環境ラベル』として、2002年6月から運用が開始されている(2002年10月現在、7社27製品が登録されている)

    注:このほか、これらに共通する一般原則を定めたISO14020が制定されている。

    ISO及びJISでは、環境マネジメントの手段のひとつとして、環境ラベルを3つのタイプ

    に分けて規格(タイプⅢについては技術報告書)を制定している。我が国でも、それぞれのタイ

    プについてマーク制度が実施されている。

    一方、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会が実施したアンケート調査

    (2001.3)によれば、一般消費者が環境配慮商品を購入する際には、『環境に配慮』という表示

    が重要な決め手となっている。また、その際、最も参考にしたい情報は製品のカテゴリー毎に異

    っており、雑貨品については“マーク”、耐久消費財では“定量的なデータ”がニーズの高い情

    報となっている。

  • 14.環境効率(ファクター)への取組み状況

    環 境 効 率 の 概 念

    WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)“1992年”

    環境効率(EE)は、「資源消費及び環境負荷を最小化し、サービスを最大化させることで、生態的影響及び資源強度を少なくとも地球の推定環境容量レベルまで次第に減少させながら、人間の需要を満足し、生活の質をもたらす競合可能な価格の商品及びサービスを提供することによって達成されること。」

    OECD(Eco-Efficiency)“1998年”

    「エコエフィシェンシーとは、人間の必要を充たすための環境資源利用の効率で、アウトプットをインプットで割ったものである。ここで「アウトプット」とは1企業、1業種あるいは組織全体で生産される製品やサービスの価値、「インプット」とは1企業、1業種あるいは組織全体で発生する環境負荷の合計をいう」と定義している。

    ファクターX(資源生産性X)

    1990 年代初ドイツ:プッパタール研究所ワイツゼッカー博士がファクター4を提唱。平均的生活標準を2倍にして資源消費を1/2することでファクター(いわゆる環境効率)を 4倍にしようとする構想。また、ドイツ:シュミット・ブレーク博士がフ

    ァクター10を提唱。

    一般的なLCA手法を含めた環境パフォーマンス評価が、環境負荷のみを定量的に評価しよう

    とする手法であるのに対して、環境効率等の概念は、製品・サービスの価値と環境負荷の比で把

    握することにより、サービスの質の向上と環境負荷の低減という一見相反する目標の両立させた

    取組を促進させようとするもの。

    環境効率の概念は、1990 年頃からドイツのプッパタール研究所、WBCSDなどにより提唱

    され、OECDレベルでも検討が行われている。

    我国においては、製品の質と環境負荷を相対的に取扱う「環境効率」の概念は企業経営上なじ

    み易いことから、経済界の関心が高く、(社)産業環境管理協会において、個別製品毎の環境効率

    に係る調査研究を実施中である。

  • 15.グリーン購入ガイドラインの策定状況

    商品ごとの購入基準・ガイドラインのある団体の割合 調達に際しての調達先の環境への取組みの考慮状況

    分  野 2001年 2000年

    OA用紙(コピー用紙等) 36% 26%印刷用紙 30% 20%

    文具・事務用品 30% 18%トイレットペーパー 26% 18%コピー機・プリンタ類 20% 12%

    パソコン 18% 10%自動車 14% 9%

    制服・事務服・作業服 13% 7%照明器具・ランプ 13% 7%オフィス家具 13% 6%家電製品類 10% 5%

    建材(建設資材) 6% 3%〔以下、企業のみ〕

    包装材・梱包材 11% 6%部品・原材料 11% -生産設備 4% 3%

    全体  n=1409  n= 988企業のみ n= 831  n= 559

    (出所)「第6回グリーン購入アンケート調査」、

    平成13年10月、グリーン購入ネットワーク

    調達に際しての調達先の環境への取組みの考慮内容

    環境マネジメントシステム構

    ISO14001

    取得

    グリーン配送実施

    その他 n =

    全 体 59% 55% 14% 25% 592企 業 60% 56% 15% 24% 422行 政 53% 46% 7% 37% 95

    グリーン購入の取組みを進めるにあたって、商品に対応して具体的な購入基準やガイドライン

    を設けている団体が増加しており、特に紙類や文具・事務用品については3割程度の団体が購入

    基準・ガイドラインを設定している。

    その際、製品の特性だけでなく、調達先の環境への取組みを考慮して優先的な購入を行ってい

    る企業、行政が多くなっており、さらに、その半分以上で「環境マネジメントシステムを構築し

    ていること」を評価の対象としている。

    39%

    18%

    40%

    54%

    企業

    行政

    企業

    全体

    〔部材等〕

    n=1409

    n=831

    n=530

    n=831

    〔オフィス用品等〕

  • 16.サプライチェーンを通じた環境経営への要請

    サプライチェーン全体での環境取り組みの事例

    取 組 内 容

    事例1:ISO14001の群審査

    M社では、資材調達先の企業を業態が近い5~6 社毎のグループに分け、群単位でISO14001 の認証取得に向けてのコンサルティングや審査を受ける方式を採用している。群審査では、参加企業が共通に取り組める活動を共通マニュアルとしてまとめ、共通部分と個別部分の 2 本立てでEMSを構築することにより、効率的・経済的に環境管理システム構築を図ることをねらいとしている。

    事例2:共同研究開発

    F社では、調達先を束ねた組織のなかで環境対策上の共通テーマを設定して、月 1~2回の会合で進捗状況の報告や議論を重ね、具体的な研究開発は各社に持ち帰って進める形での共同開発を進めている。この結果、いくつかの新たな開発がなされるとともに、結果として部品メーカー各社の競争力強化にもつながることとなった。

    部品や原材料の調達先の評価・選定に、これまでの『品質・コスト・納期』や『財務力』だけ

    でなく、『環境対応』を加える動きが広がっている。具体的評価・選定項目には、環境マネジメ

    ントシステムの構築状況の他に、①製品に含まれる有害化学物質の削減、②環境負荷の少ない原

    材料の開発、③加工工程での環境負荷削減、④消費エネルギーの削減などが含まれる例が多く、

    グリーン購入基準やガイドラインを設定して運用している例が多い。

    一方で、調達先を含めたサプライチェーン全体での環境対応の底上げのために、取引先の中小

    企業の環境への取り組みが不可欠であるとして、このために“ISO14001 の群審査”や“共同研

    究開発”を行う事例も出現している。

  • (参考)電機メーカー6社の環境配慮の要請項目

    (出所)中小企業金融公庫「大手メーカーのグリーン調達が中小メーカーへ与える影響とその対応」

    ※E社、F社とも別途仕様により化学物質要請を実施している。

    重複度5社以上◎3社以上○

    A社

    B社

    C社

    D社

    E社

    F社

    法律・条約の順守リサイクル、廃棄物処理等の法律及び条例の遵守 ○ ○

    資材への化学物質の使用禁止・削減・管理法律及び条令、または化学物質に関する要請の遵守※ ○ ○ ○ ○ ○

    近傍環境

    振動の発生回避・抑制 ○ ○騒音の発生回避・抑制 ○ ○悪臭の発生回避・抑制 ○ ○

    有害物質の発生回避・抑制 ○電磁波の発生回避・抑制 ○粉塵の発生回避・抑制 ○

    省エネルギー化待機時/使用時の消費エネルギーの低減 ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○

    省資源化使用段階における消耗材の使用量低減 ○ ○小型化・軽量化 ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    使用部品点数及び主要材料の量の低減 ○長寿命化 ○ ○ ○ ○ ○再生材料や再生部品の使用 ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○

    希少資源使用量の低減 ○ ○リサイクル設計

    再資源化可能材料やリサイクルシステムがある部材の使用 ○ ○ ○ ○複合材料の使用回避・抑制 ○分解・分別を容易化 ○ ○ ○ ○ ○

    分別回収のための材料表示 ○ ○ ○ ○材料の統一・標準化 ○ ○製品の回収・リサイクルの実施 ○ ○ ○ ○

    モジュール化 ○梱包材料

    梱包材に対する環境配慮 ○ ○

    法律及び条令の遵守 ○梱包材料の減量化/小型化 ○ ○ ○ ○

    リユース ○通い箱の繰り返し使用 ○繰り返し使用回数の増大 ○ ○

    再生資源の利用再生材料の使用 ○

    使用済み分解性・省スペース性

    使用済み後の体積の削減、容解体性 ○複合材料の使用回避 ○分別回収のための材料表示 ○

    有害性・有毒性焼却時の有害ガスの発生回避・抑制 ○

    化学物質の使用回避・抑制 ○ ○ ○ ○発砲スチロールの使用回避・抑制・代替 ○塩化ビニルの使用回避 ○

    カドミウム、六価クロム、水銀、鉛等の有害重金属の使用回避 ○ ○廃棄時の有害性・有毒性

    埋立て処分時の化学物質の溶出回避・抑制 ○

    焼却処理時の有害ガスの発生回避・抑制 ○使用済み商品の有害物質の分別処理 ○

    LCALCAの導入または試行 ○

    エコラベル

    ブルエンジェル、エナジースターなどの取得 ○情報公開

    資材(部材)に関する環境情報公開 ○ ○ ○ ○

  • (参考)電機メーカー6社の環境配慮要請項目(つづき)

    (出所)中小企業金融公庫「大手メーカーのグリーン調達が中小メーカーへ与える影響とその対応」

    ISO14001要求事項との対応

    重複度5社以上◎3社以上○

    A社

    B社

    C社

    D社

    E社

    F社

    環境管理システムISO14001の取得 ○ ○

    (ISO14001を取得、または取得準備をしていれば以下の詳細を免除) ○ ○ ○ ○企業理念・方針 4.2.

    環境保全に対する企業理念・方針の策定 ○ ○ ○ ○ ○

    環境保全の継続的な改善及び汚染防止を誓約 ○ ○法規制の順守を明記 ○ ○ ○ ○

    組織が受け入れを決めた外部からの環境に関する要求事項の順守を明記 ○環境方針の文書化、全従業員に周知及び一般への公開 ○ ○

    組織・計画

    環境保全に関する目的・目標の策定 4.3.3. ○ ○ ○ ○ ○環境保全に関する目的・目標を達成するため組織・責任者を明確化 4.3.4. ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    目的・目標を達成するための手段・方法を含む実行計画の策定 4.3.4. ◎ ○ ○ ○ ○ ○最新の環境法規制や地方条例等を入手し管理する担当部門及び責任者の明確化 4.3.2. ○ ○

    環境評価&システム 4.3.1.

    環境に影響を与えているものを管理・評価 4.5.1.・大気汚染 ○ ○ ○ ○ ○・水質汚濁 ○ ○ ○ ○ ○

    ・騒音・振動 ○ ○ ○ ○ ○・土壌汚染 ○ ○

    ・廃棄物 ○ ○ ○ ○ ○・エネルギー(電気・ガス・燃料などの使用量) ○ ○ ○ ○ ○・用水 ○ ○

    ・振動 ○・管理対象化学物質

    使用禁止物質の不使用 ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    管理対象物質の使用削減及び排出削減 ◎ ○ ○ ○ ○ ○管理対象物質の使用管理及び排出管理 ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    PRTR法など、化学物質を管理する体制(制度)の確立 4.5.1. ○ ○ ○ ○ ○製品アセスメント制度の確立 ○ ○ ○ ○ ○事業所立地/改廃時のアセスメント制度の確立 ○

    環境内部監査の実施 4.5.4. ○ ○緊急事態への対応 4.4.7.

    緊急時に対応する規定・仕組みの確立 ○ ○ ○ ○教育・啓発・情報公開

    教育訓練の実施 4.4.2. ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    環境影響を与える可能性のある者への教育訓練、作業者の管理 ○ ○ ○ ○自社の環境保全に関する情報公開 4.4.3. ◎ ○ ○ ○ ○ ○

    その他

    物流の合理化(納入荷姿の改善、梱包リユース・リサイクル、運搬の効率化) ○ ○使用済み製品の回収・リサイクル ○ ○ ○ ○

    グリーン調達の実施 ○ ○ ○ ○ ○MSDS(化学物質安全性データシート)提供体制の確立 ○オゾン層保護、地球温暖化防止への取り組み ○

  • 17.地方自治体におけるグリーン調達や環境経営支援の状況

    ISO14001取得に対する自治体の支援策

    ISO14001 取得支援策(含む、資金支援、内部監査員育成、アドバイザー派遣)

    北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京と、山梨県、新潟県、長野県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、富山県、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、広島県、鳥取県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、札幌市、横浜市、川崎氏、名古屋氏、大阪氏、北九州市

    ISO14001認証取得企業優遇策

    北海道:物品調達の優先購入神奈川県:条例による上乗せ規制の緩和(条例により規定)静岡県:水質・大気検査削減、工場新増設の協議免除兵庫県:公害防止協定に基づく報告書免除、入札資格者制度仙台市:公害防止協定締結除外・簡素化、届出・報告の除外・

    簡素化横浜市:手続簡素化(出所)環境自治体会議事務局「環境 ISO自治体ネットワークフォーラム資料」2001

    地方自治体において、入札や物品調達の面、あるいは、環境規制等の手続き面において、環境

    経営を行なう事業者に対する優遇・支援策が増加。例えば、2000 年度、滋賀県が我が国で初め

    て、建設工事(指名競争)の入札資格の登録においてISO9000及びISO14001の認証取得を審査

    要件とした。また、東京都では、ISO14001を取得しているかどうかに従い、2001年度より3%の

    上乗せ発注が有り得ること等を発表。その他の自治体においても、ISO14001 取得企業への優遇

    策導入が増加。

  • 18.グリーン購入・調達の状況

    (出所)「第6回グリーン購入アンケート調査」、

    平成13年10月、グリーン購入ネットワーク

    取り組み団体数の推移(累計)

    217

    398

    577

    802

    962

    76121

    178

    256297

    402

    16 28 3545

    109

    1128

    16 20 2231

    53

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02-03(予定)

    (団体)

    オフィス用品等

    部品・原材料・包装材等

    グリーン購入に取り組む団体は、オフィス用品等(文具・事務用品、紙、事務機器、制服、自

    動車等)については全体(企業、行政)の 75%、また部材等(部品・原材料・包装材等)につ

    いては企業の 38%が取り組んでおり、今後とも大きく伸びる見通しとなっている。グリーン購

    入の主な障害は「価格」、「選び方」、「機能・品質」であるが、一方で、最近の状況変化として、

    「必要な機能・品質を備えた商品の豊富さ」、「商品情報の入手の容易さ」、「価格の低下」も認識

    されている。

    グリーン購入に取り組んでいる(予定)の団体

    57%

    97%

    74%

    84%

    78%

    73%

    77%

    75%

    2%

    5%

    2%

    3%

    5%

    4%

    4%

    4%

    2%

    8%

    4%

    7%

    10%

    8%

    8%

    63%

    86%

    90%

    89%

    87%

    88%

    87%

    98%民間団体     

    都道府県     ・政令市  

    行政機関     

    サービス業、他 

    卸・小売業  

    製造業    

    企  業     

    全  体     

    [オフィス用品等]

    n=1409

    n=831

    n=402

    n=262

    n=167

    n=530

    n=59

    n=46

    29%

    25%

    51%

    38%

    3%

    4%

    2%

    8%

    6%

    14%

    10%

    40%

    51%

    69%

    31%

    0% 50% 100%

    サービス業、他

    卸・小売業  

    製造業    

    企業全体     

    取り組んでいる今年度中に取り組む予定2年以内に取り組む予定

    [部品・原材料・包装材等(企業のみ)]

    n=831

    n=530

    n=262

    n=167

    グリーン購入の対象商品分野と取り組みレベル

    10%

    15%

    23%

    23%

    24%

    28%

    31%

    35%

    53%

    57%

    53%

    68%

    9%

    9%

    9%

    12%

    14%

    12%

    11%

    13%

    10%

    13%

    13%

    9%

    9%

    14%

    13%

    11%

    9%

    10%

    14%

    15%

    11%

    10%

    14%

    10%

    27%

    38%

    45%

    47%

    47%

    51%

    56%

    62%

    74%

    79%

    80%

    86%

    建材(建築用資材)

    家電製品類

    オフィス家具

    照明器具・ランプ

    自動車

    制服・事務服・作業服

    パソコン

    コピー機・プリンタ類

    トイレットペーパー

    印刷用紙

    文具・事務用品

    OA用紙(コピー用紙等)

    [2000年]

    n=1409 n=988

    87%

    79%

    79%

    75%

    55%

    50%

    45%

    44%

    37%

    34%

    28%

    23%

    [以下、企業のみ]

    16%

    9%

    36%

    23%

    33%

    26%

    17%

    11%

    22%

    16%

    24%

    18%

    12%

    9%

    11%

    10%

    14%

    12%

    45%

    29%

    69%

    49%

    70%

    57%

    0% 50% 100%

    (製造業)

    生産設備

    (製造業)

    部品・原材料

    (製造業)

    包装材・梱包材

    n=559

     組織全体として取り組んでいる 一部の部署が取り組んでいる 担当者レベルで取り組んでいる

    52%

    43%

    28%

    *2000年の数値は、組織全体、 一部部署、担当者レベルの 取り組みの合計

    企業全体n=831製造業 n=402

  • 19.消費者のグリーン購入に対する意識

    (出所)『循環型社会の形成に関する世論調査』、内閣府政府広報室(2001.7)

    グリーン購入のために必要な情報提供のあり方                                       (複数回答)

    64.7

    33.3

    28.6

    26.5

    24.0

    21.6

    0.3

    3.9

    7.0

    0 10 20 30 40 50 60 70

    環境にやさしい製品を認定し、一目でわかるマークを表示する制度を一層発展させる

    再生素材の使用、生産に必要なエネルギー、廃棄された後のリサイクルのしやすさ、廃棄された際の環境への影響など、環境への優しさの程度を示す様々な項目について総合的に情報提供を進める

    様々なマークや情報があり、混乱しているので、マークや情報の信頼性をチェックする仕組みを設ける

    類似の製品との比較検討が容易になるように、環境にやさしいかどうかに関する情報の比較方法

    や表現方法の標準化、共通化を進める

    様々な視点からより多くの情報が提供されるよう、国が幅広く団体や事業者の取組を支援、促進する

    リサイクルの素材の含有率やエネルギー消費量など、具体的な数値で表示し、情報提供を進める

    その他

    要望することはない

    わからない

    (%)

    (N=3,476人,M.T.=210.0%)

    『循環型社会の形成に関する世論調査』によれば、製品等を購入する際に、その製品の素材に

    再生(リサイクル)された原料が用いられていたり、不要になった後リサイクルがしやすいなど、

    環境にやさしい製品を買うよう心がけている者の割合は 80%を超える。また、環境にやさしい

    製品が一般の製品より10%高程度までであれば購入するとする者が60%を超えている。

    一方、環境にやさしい製品等を選ぶための情報提供については、わかり易いマーク表示、総合

    的な環境情報の提供、マーク情報の信頼性のチェック、情報の比較方法や表現方法の標準化・共

    通化が求められている。

    11.6 38.7 33.0 14.0 2.6

    0.1

    グリーン購入の状況 n=3,476

    いつも心がけている

    できるだけ心がけている

    たまに心がけている

    まったく心がけていない

    その他 わからない

    38.6 25.9 4.4 21.1 8.2

    0.6 0.1 0.3 0.8

    グリー ン購入の   経済的障害

    n=3,476

    5%高程度まで 10%高程度まで 20%高程度まで 30%高程度まで 40%高程度まで40%高以上まで 割高ならば購入しない その他 わからない

  • 20.環境経営の外部評価の状況

    <欧米における主要な「環境格付け機関」>格付け機関 主たる格付け活動 環境の評価基準 格付け方法

    ①社会的適任投資に関する情報を提供(格付けは実施せず)IRRC(米)NPO1972年設立

    ・ 「社会的責任投資」に関する企業情報調査機関。

    ・ 企業環境プロファイルCEPDのデータ提供のみ。

    ・ NTTデータと提携。

    ・ 環境マネジメント、環境設備投資、法規制違反、環境監査、資源使用量、LCA、排出物削減、スーパーファンドサイト数、TRIデータ、土壌汚染等。

    ・ 多様な公的環境データを売上高原単位で指数化し、企業間比較を容易にする。

    ・ 異業種間比較を前提とせず。

    ②社会的責任格付けを提供CEP(米)NPO1969年設立

    ・ 「社会的責任」を消費者・投資家に提供。

    ・ 社会的責任を評価するガイドブック Shopping for a BetterWorldは有名。

    ・ 環境影響、環境マネジメントシステム、環境情報開示、法規制遵守の4基準。

    ・ 225 項目を定量評価。特に有害化学物質対策を重視。

    ・ A、B、C、Dの4段階相対評価。環境は同業種内比較、それ以外は全業種共通評価。

    ・ 各評価領域の総合格付けは行わない。

    KLD(米)民間企業

    ・ 機関投資家に社会的責任格付けSOCRATES提供。

    ・ 社会的投資指数Domini 400はSRIファンドのベンチマークとして有名。

    ・ (+評価)環境適合商品、汚染防止、リサイクル、代替エネルギー、情報開示等。

    ・ (-評価)有害廃棄物、法令違反、オゾン層破壊、有毒化学物質等。

    ・ 記述式の企業プロファイルでは環境面の強さと弱さを示す。

    ・ 格付け方法の詳細は公表されていない。

    Oekom(独)民間企業1989年設立

    ・ 機関投資家向けの「環境・社会評価」の格付け会社。

    ・ 一般向けには企業の環境格付け、環境プロファイル、産業レポートを販売。

    ・ (共通)環境バランスシート、環境リスク、環境面の強さと弱さ、環境側面。

    ・ (業種類型別)環境マネジメント、環境配慮製品・サービス、環境負荷。

    ・ A+、A、A-からD+、D、D-までの12段階評価。

    ・ 製品・サービスの環境適合性と使用時の環境負荷による業種別ウエート付け。

    ・ 異業種間比較が可能。③環境リスクに対する環境経営力の格付けを提供Innovest(米)民間企業1995年設立

    ・ 環境と財務の関係に特化した投資情報会社。

    ・ 環境を組み入れた企業評価モデル EcoValue21 による環境格付けを機関投資家に販売。

    ・ 環境由来の財務リスクを6評価基準から格付け。

    ・ 過去の環境責務、操業リスク、環境効率、リスクマネジメント、戦略的収益チャンス。

    ・ AAAからCCCまでの7段階評価。

    ・ 業界別の隠れたリスクと収益性をもとに、個別企業をランキング。

    ④持続可能性による格付けを提供SAM S.G.(スイス)民間企業1995年設立

    ・ 「持続可能性」を評価軸とする投資情報会社。

    ・ ダウジョーンズ社の DJGIに持続可能性を加味した株式指数DJSGIを公表。

    ・ まず 73 業種について持続可能性を評価。

    ・ 個別企業の評価基準は、持続可能性の「機会」と「リスク」についての戦略・マネジメント・業種特性。

    ・ 環境方針・戦略、環境マネジメント、業種特性に各12点、情報の質2点で合計74点。

    ・ 各業種上位 10%をDJSGIとして選別。

    IRRC:Investor Responsibility Research Center CEP:Council on Economic PrioritiesKLD:Kinder, Lindberg and Domini & Co., Inc. Oekom:Oekom Research AGInnovest:Innovest Strategic Value Advisor, Inc. SAM S.G.:SAM Sustainability Group(資料)各機関のホームページからニッセイ基礎研で作成

    (出所)「欧米における主要な環境格付けの概要」、川村雅彦、地球環境(2001.8)

    企業の環境配慮の度合いを評価し、格付けする「環境格付け」の動きが広がっている。欧米で

    は、既に環境格付会社が存在し、機関投資家が投資判断を下す際に「環境格付け」を利用するな

    ど広く浸透している。

    我国でも、環境格付機関が設立されるなど、企業や商品の環境的側面に係わる情報を提供する

    動きや企業に対するアンケート調査等をもとに企業をランキングする動き等が進められ始めて

    いるが、①評価材料となる情報開示が未だ不十分である、②評価基準・手法が未確立で信頼性が

    低い、③評価に至る過程が不透明である等、多くの課題を抱えている。

  • 21.我が国における環境経営の評価・格付の動向

    環境経営度調査における評価項目と配点方法(2002年度)

    評価指標 配点方法

    ISOなど管理・運営体制 ISOの管理体制の状況、グループの環境対策を統括管理する組織を持っているかなど諸項目の合計得点

    積極的な情報公開 報告書の作成状況、ホームページでの公開状況など諸項目の合計得点

    対策推進の環境教育・社外貢献 社内の環境教育の状況、社員の意欲向上のための対策、取引先の環境対策への資金提供をしているかなど諸項目の合計得点

    長期ビジョンを持った対策 廃材やCO2の2010 年排出量の把握状況や、中長期的な経営ビジョン、将来を見据えた環境対策についての合計得点

    自主的な汚染リスク管理 PRTRに指定された化学物質使用量・排出量の把握などに関する諸項目の合計得点

    資源循環に対応した廃棄物対策 廃材などの原材料や燃料などへの活用状況、社外へ廃棄物処理委託をする際の選定基準についてなど諸項目の合計得点

    地球温暖化対策の取組は十分か 資源や投入エネルギーの把握状況、CO2排出量の把握状況、CO2以外のガスの排出量の把握など諸項目の合計得点

    製品・物流対策の環境負荷把握 搬送などの車輌・走行状況の把握、低公害車の導入状況、LCAの取り入れ状況、実施状況など諸項目の合計得点

    (出所)日本経済新聞社「環境経営度調査報告書」

    我が国においても、第三者による企業の環境経営の評価・格付が増加傾向にあり、その評価項

    目も多様化している。

    代表的なものに、日本経済新聞社が1997 年から実施した環境経営度に関する調査がある。同

    調査では上場、非上場の有力企業に対してアンケート調査を実施し、新聞や報告書においてラン

    キングを公表している。第5回目にあたる2002年度調査では回答率40.2%を得ている。

  • 22.消費者による環境経営と企業評価

    ○ 各企業の環境への取り組みに対する評価や環境に関する企業イメージを消費者、ビジネスマン

    各々に対してアンケート調査した『環境ブランド調査(平成14年9月)、日経BP社』よれば、

    『事業が直接、間接に環境破壊の原因となっている』などのマイナスイメージのある企業の環

    境評価が必ずしも低いわけでなく、むしろ企業自身が環境に及ぼしている影響をしっかりと受

    け止め、改善努力や成果を効果的に伝える情報発信を工夫することが重要となっている。

    ○ また、『環境評価』と『企業好感度』の相関も高く、『環境』が配慮されたときの各企業のブラ

    ンド力は消費者の場合 7.5%、ビジネスマンの場合 9.6%平均的に上昇することが分かってい

    る。

    企業が製品開発や製造のプロセスにおいて環境面で対策を講じ、これを広く社会に伝えること

    が、企業のポジティブな社会イメージの創造の観点から重要となっている。

  • 23.我が国におけるエコファンドの状況

    わが国のSRI型投資信託(エコファンド) (単位:億円)ファンド名(愛称) 設定日 設定・運用機関 評価機関 純資産 スクリーニング項目

    日興エコファンド 99年8月日興アセットマネジメント

    グッドバンカー 638

    エコノミック(時価総額、企業規模・財務内容等)エコロジカル(環境マネジメントシステムの構築、情報開示に対する姿勢、製品・サービスに対する配慮、LCAへの取組み、省エネルギー・省資源対応)

    グリーン・オープン(ぶなの森)

    99年9月安田火災グローバル投信投資顧問

    安田火災G環境分析チーム

    93環境マネジメントの展開度、情報公開コミュニケーション・情報開示、環境負荷・環境効率の改善

    エコ・ファンド 99年10月興銀第一ライフアセットマネジメント

    グッドバンカー 89環境問題に取り組む組織体制、製造工程での配慮

    UBS日本株式エコ・ファンド(エコ博士)

    99年10月UBSグローバル・アセット・マネジメント

    日本総研 52

    経営方針の中での環境保全取組み方針の明確化、環境管理システムの構築、製品サービスの環境配慮、業界特有の環境リスク対策、定量的な環境負荷の低減目標と取組みの進捗、情報開示コミュニケーション

    エコ・パートナーズ(みどりの翼)

    00年1月UFJパートナーズ投信

    三和総研(協力) 42

    本事業を見直し、大きな転換を図る、新製品・サービスの提供や技術開発による環境貢献、製造プロセスにおける環境負荷低減、環境貢献活動や地域貢献活動、情報公開・コミュニケーション、企業の枠組を超えた取組み

    SRI社会貢献ファンド(あすのはね)※

    00年9月朝日ライフアセットマネジメント

    三菱総研、パブリックリソースセンター

    68環境(環境配慮の社内体勢、環境汚染・廃棄物の把握と対応、エネルギー

    エコ・バランス(海と空)

    00年10月三井海上アセットマネジメント

    インタリスク 13CO2 などの排出量に関する定量的データを分析

    グローバル・サステナビリティ・F(globe)※

    18

    同上[為替ヘッジ なし]00年11月

    日興アセットマネジメント

    SAM社(スイス)33

    経済合理性、環境適合性、社会適合性

    グローバル・エコ・グロース・F(Mrs.グリーン)

    49

    同上[為替ヘッジ なし]01年6月

    大和住銀投信投資顧問

    イノベスト社(米)77

    「間接環境配慮企業」(ISO14001認証取得状況)、「直接環境型企業」(燃料電池開発、風力発電、土壌改善、廃棄物処理)に分類し、両企業分類をファンドに組み込む

      合 計 1,172(注)※:環境以外の社会的評価も行っているファンド。

    (出所)モーニングスター社HPより政策銀作成(「社会的責任投資の動向」、調査Vol.40)

    近年の環境問題に対する関心の高まりを受け、環境対応の進んでいる企業を投資対象とする投

    資信託(エコファンド)の市場が拡大している。その純資産額は約1,000億円を超えるに至って

    おり、我国でも環境経営のあり方が企業の株価や資金調達条件に影響を与えつつある。

  • 24.諸外国におけるSRIファンドの状況と日本との比較

    世界のSRI投資信託市場 (単位:億円)1999年 2001年 増減率

    資産合計 201,909 200,598 -1%投信数 168 230 37%

    米国

    平均資産残高 1,201.84 872.17 -27%資産合計 12,999 18,269 41%投信数 159 251 58%

    欧州

    平均資産残高 81.76 72.79 -11%資産合計 2,074 1,335 -36%投信数 5 9 80%

    日本

    平均資産残高 414.80 148.33 -64%

    (出所)河口真理子「企業の社会的責任」(大和レビュー2002年秋季号No.8)より作成

    欧州のリテール向けSRI型投資信託の状況(2001年6月末)

    (出所)「社会的責任投資(SRI)の動向」、日本政策投資銀行、調査Vol.40(2002.7)

    近年、欧米では、投資先の財務的評価に加え、社会、環境、倫理といった側面の評価も考慮す

    る社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)が拡大する動きにある。米国

    におけるスクリーニング型の投資信託は20 兆円規模で、資産規模は株価下落の影響から微減傾

    向にあるが、設定数は順調に増加している。欧州においても、SRI型投資信託の資産規模は、

    設定数250、資産残高1.8兆円前後と設定数、資産合計とも増加している。

    また、企業の社会的責任(CSR)に関しては、EUで 2001 年 7 月にグリーンペーパー

    “Promoting a European Framework for Coporate Social Responsibility”が発表され、評価

    機関が使用するスクリーニング基準の標準化・共通化、透明性の向上などが課題として指摘。

    0

    20

    40

    60

    80

    英国 イタリア オランダ スイス ベルギー フランス ドイツ スウェーデン スペイン ノルウェー フィンランドポーランドオーストリア

    ファンド数、1億ユーロ

    -1

    0

    1

    2

    3

    設定数

    資産残高

    Sustainable Investment Research International Group 「Green, social and ethical funds in Europe 2001」より日本政策投資銀行作成

    各国の市場に占めるウエイト(右目盛)

  • 25.欧州における市場のグリーン化の動向

     90年代後半から欧州で市場のグリーン化が急速に進んでいる。再生エネルギー事業、有機・バイオ事業等の環境及び社会の両面で意義のある事業に融資することを前提に、一般市民から預金を集めるトリオドス銀行(オランダ)の資産残高は 2000年時点で 1990年の 12倍程度にまで拡大。欧州全域で販売されるSRI ファンドも 90年代後半に急激に増加しており、投資対象資産残高は 1999年末時点における 111億ユーロから 2001年半ば時点における 151億ユーロへと 36%の増加。欧州では、環境経営が企業の資金調達に直接的な影響を与えはじめている。 また、EU指令に基づく電気電子機器に対する特定有害物質の使用制限(ROHS)等政府による市場のグリーン化が進んでいる。

    ◎トリオドス銀行の資産残高の推移

                          (出所)トリオドス銀行プレゼンテーション資料より抜粋

    ◎欧州におけるSRI数の推移

    欧州全域で販売される SRIを対象。2001年第二四半期終了時点で総数251。99年末からの伸び率 58%にて外挿し

    た総数が 282。

    700

    600

    500

    400

    300

    200

    100

    081 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00

    単位:百万ユーロ

  • 26.米国における市場のグリーン化の動向

     98年に米国商務省が行った調査では、米国における環境産業の成長率は 90年代後半に入り低下傾向を示している。環境規制を遵守する企業が増加し、新たな規制の導入数が低下。規制主導型の需要創出効果が減少したことがその主な理由である。企業経営者の見通しでは、21世紀の環境市場を主導するのは、企業責任を果たしていることに関するアカウンタビリティと環境パフォーマンスに関する市場競争の二つのファクターとされる。企業経営者は、企業が環境パフォーマンスによって評価され、環境パフォーマンスを企業の通常の意思決定に統合すべきことを提案している。

    ◎米国における環境産業の成長率の推移

    ◎環境市場のドライビングファクター(企業経営者の考え方の概念図)   

                         (出所)1998年商務省レポート「The US Environmental Industry」

    環境規制

    企業責任のアカウンタビリティ

    環境パフォーマンスに関する市場競争

    環境市場のドライビングファクター

    0123456789

    10111213141516

    1970 1975 1980 1985 1990 1995

    Gro

    uth(

    %)

    Years

    環境規制

    環境パフォーマンスに関するアカウンタビリティ

    成長率(

    %)

  • 27.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(海外)

     環境汚染リスク、訴訟リスク、消費者からの信頼という社会的リスクなど環境問題に起因するリスクは多岐にわたり、企業の経営に大きな打撃を与える可能性がある。危機発生を未然に防止するためのリスクマネージメント、危機発生時に損害を最小化するためのリスクマネージメントなど、守りのための環境経営が企業の競争力を支えることになる。

    事例 概要

    ①エクソンバルディーズ号事件 ・ 1989 年 3 月にエクソン社のタンカー「バルディーズ号」がアラスカ沖で座礁

    ・ 大量の原油が海に流出し、10万羽の海鳥と推定100万頭の海洋動物が犠牲・ エクソン社は原油除去のため1500船を使用し、12,000人が手作業で除去作業を実施

    ・ 本除去作業に要した費用 20億ドル以上をエクソン社は負担・ 加えて、カリフォルニア大学カーソン教授等による CVM(仮想評価法)によって、失われた生態系の損害が算定され、追加的に約11億ドルを負担

    ・ リスク管理システム不備のため、事故後すぐに責任ある経営層が現地に赴かなかった、情

    報提供体制が不十分(会社の方針は本社のあるヒューストンとニューヨークのみで対応)、

    会社作成の一般向け情報とは異なる情報が石油業界の別ルートから流出等の課題に直面

    ・ 1992年に安全・健康・環境を守るための全社的マネジメントシステム OIMS(Operation

    Integrity Management System)を構築

    ・ OIMS は事故防止と緊急時対応を定めたシステムで、全施設が危機管理計画を保有、OIMS

    コーディネーターを設置し、経営層の関与、地域社会やマスコミとの協力関係を重視

    ②企業を倒産に追い込むアスベスト訴訟

    ・ 1973 年、アスベストメーカに対する PL 責任が認められ、全米でアスベスト訴訟が増加

    ・ 危険性が指摘されはじめた時点で脱アスベスト化等の適切な対応を怠った

    ことから、米国のアスベスト製造会社最大手のマンビル社は被害者への補償

    費用が81年で3,500万ドルに達し、1万6,000件にも昇る訴訟を抱えた・ 賠償金は20億ドルを超えると見られたため、マンビル社は 82年に会社更生法を申請

    ・ その後もアスベスト訴訟は続いており、2000 年には Owens Corning 社、2001年には USG Corp等も訴訟を受けている

    ③経営判断ミスがもたらしたペリエ事件

    ・ 1990 年、米国で発泡性ミネラルウォーター「ペリエ」に発ガン性のベンゼンを検出

    ・ ペリエ社は製品を回収し、原因は従業員によるミスによるもので影響は限定

    的と発表

    ・ ベンゼンが欧州でも検出されたことから世界的問題に発展

    ・ 源泉の炭酸ガスが減少したためにベンゼンを含む別鉱泉のガス注入を行っ

    ていたことが判明

    ・ 危機対応(クライシスマネージメント)システムの欠如のため、商品のブラ

    ンドイメージが大きく傷つき、ペリエ社は92年、ネスレ社に買収された

    (出所:月刊地球環境2001年12月号等)

  • 28.環境経営の欠如が企業リスクに起因した事例(国内)

     国内においも問題の発見時に適切な対応を怠ったことに起因して、環境汚染リスクが顕在化した事例、地域住民とのリスクコミュニケーションが課題となった事例等が存在している。情報公開の進展、市民の環境意識の向上等により、国内においても、守りのための環境経営がますます重要になっている。

    事例 概要

    ① 完成直前のマンションを解体させた土壌汚染

    ・ 1998年大手不動産会社N社は大阪府豊中市でマンション建設に着手・ 1999年の工事に伴う土壌調査により、PCB、シアン等、計9種類の有害物質が基準値を超える複合土壌汚染を発見(同地はかつて産業廃棄物処分場で

    あったが、法制定前であったことから規制対象外)

    ・ 汚染範囲が限られていたことから人体への影響は無いものと判断し、工事を

    継続

    ・ 再調査の結果、地下水汚染も判明

    ・ マンション建設が進捗しており、土壌地下水汚染対策を行うことが困難であ

    ったことから、分譲を開始していたにも係らず、居住者の健康被害発生を回

    避するため、建物解体を決定

    ・ 現在、土地の前所有者に対して土地売買契約の無効を訴えて係争中

    ・ 汚染発見時に適切な対応を怠ったために損害が拡大

    ②対応遅延による化学物質汚染 ・ 1999年、ダイオキシン類対策特別措置法が成立・ ダイオキシン類については欧米諸国においてその有害性が指摘されていた

    にも係らず、一部の国内の自治体焼却施設ではダイオキシン類の発生抑制へ

    の配慮を欠いたまま施設の運転を継続

    ・ ダイオキシン類汚染廃棄物やダイオキシン類汚染土壌を大量に発生し、その

    処理に数十億円の費用を投入③企業負担を増加させた土壌汚

    染・ 1999年、江東区でマンション建設を進めていた大手商社 S は、基礎工事段階で土壌汚染を発見

    ・ マンションは工事着手時点で全戸完売の状態

    ・ 同地は鉄鋼関連会社の倉庫、配送所等として活用されていたが、それ以前は、

    ナフタレン、クレゾール等の精製工場であった

    ・ 調査の結果、同地は、ベンゼン、鉛、砒素等に汚染されていることが確認

    ・ 施主は土壌の入れ替えを実施、入れ替え工事の際、悪臭が発生し周辺住民か

    ら苦情が発生

    ・ 2000 年に追加調査を実施し、砒素、ベンゼンの他、有機塩素系化合物を確認

    ・ 敷地境界外への地下水汚染の拡大を防ぐ工事等も必要となり、S社は購入者への説明会を開催、「汚染の存在を確認していれば購入しなかった」という発

    言あり

    ・ 工期の遅延等の事情もあり、S社は、購入者との契約は白紙に戻し、手付け金の全額を返済、加えて、売買契約額の10%にあたる補償金を支払い

    ・ その後、土壌改良計画を策定し、近隣住民及び元購入者に同計画を説明し同

    意を得た後、工事を実施

    ・ 工事完了後、マンションの再販売を行う、その際、以前の購入者を優先

    ・ 情報公開を徹底したこともあり、再販売後は、全戸完売

    (出所:月刊地球環境2001年12月号、MITSUI RES MARKET REPORT 平成14年6月号等)

  • 29.省エネ・リサイクル支援法のスキーム