N.K.R.NKR プロパン (2009 年1 月) － 11 －第2章 LPG 2.1 LPガスの種類私たちが熱気球の燃料として一般的に使用するLPガスとは、液化石油ガス(Liquefied

NKR プロパン－ i －

日本気球連盟パイロットハンドブック

N.K.R.

プロパンシステム

日本気球連盟

安全委員会

NKR プロパン－ ii －

日本気球連盟(NKR)

プロパンハンドブック

初版 1990年3月

第二版 1998年3月

第三版 2004年10月

第四版 2009年1月

編集執筆　　－谷岡　雄一

鈴木　一義

伊奈　孝

阪田　茂男

改訂版編集　　－角田　正

第三版編集　　－広田　和弘

第四版編集　　－広田　和弘

このハンドブックに載せられた情報は忠実に編集されたものであり、正確であると

信ずるが、本書の情報により、過失もしくはその他の理由で被害が生じたとしても、

日本気球連盟、日本気球連盟安全委員会、及び筆者は一切の責任を負うことはできな

い。

この著作のいかなる部分も、日本気球連盟(NKR)安全委員会の許可なく、引用その

他の形での転用をしてはならない。

Copyright by Nippon Kikyu Renmei (NKR)

NKR プロパン－ iii －

はじめに

NKRプロパンハンドブックは、NKRパイロットハンドブックの一環として発行されました。

1976年にBFAのプロパンハンドブックの日本語訳が出て以来10年が過ぎこの翻訳版も

絶版になっており、わが国向けの改訂版を出す機会のないままとなっていました。一方わ

が国の気球界の状況を見ますと、この間に気球数、パイロット数共に、非常な増加を示し

ており、各方面からハンドブック類の発行が強く望まれていました。このためBFA翻訳版

の再刊と併せて本書を発行しました。

本バンドブックは編集にあたって、日本国内の事情、最近の技術動向なども考慮し熱

気球のパイロットにとって有用な情報を提供するものと考えます。しかしすべての機体に

対して最もよい選択をしているわけではなく、最大公約数的にまとめてあるところもありま

す。本書と共に、機体に添付されているフライトマニュアル、メインテナンスマニュアルを充

分理解した上で利用するようにしてください。

執筆にあたってはできるだけ正確に、必要なことを網羅するように努めましたが、少人数、

短時間で作成したため、不正確、不十分なところがないとはいえません。もし気付かれた

方がいましたら、執筆者もしくは安全委員に連絡下さい。今後の改訂の参考にしたいと思

います。

最後に、本テキストの編集は1990年1月27目、28目にわたり合宿を行ない完成させる

ことができました。以下に編集に協力してくださった方を掲載させていただき、紙面を借り

て、感謝の意を表したいと思います。また、本ハンドブックを編集するにあたり、資料提供

をいただいたカメロン、サンダー&コルト、ファイアフライ、エアロスター、ウルトラマジックの

日本代理店の各氏に謝意を表したいと思います。

このマニュアルがあなたの安全飛行の手助けとなり、楽しいバルーニングができるように

祈ります。

〈編集委員会参加者〉(順不同敬称略 )大岩正和、市吉三郎、内山陽一、赤間誠司、橋本耕明、佐藤昇、伊奈孝、阪田茂男、

神田道夫、遠藤護、宇佐見良人、中西輝夫、西沢明、竹沢広介、中口宗紀、稲垣隆、

久保重信、藤本宏隆、谷岡雄一

1990年3月

日本気球連盟安全委員会

第4版発行にあたり

NKRプロパンハンドブックの初版が発行されてから年月が経過し、その間に、高圧ガス

取締法が高圧ガス保安法として改定され、内容も変更になりました。第4版改訂において

は、容器再検査の期間など、法改正に関連する部分についてのみ改訂を行っています。

その他の内容については変更を加えていないため、現在では使用されていない機材に

ついての記載もありますが、プロパンの性質など基本的な内容については、現在でも十

分に通用するものと思いますので、本ハンドブックを活用していただき、事故の無い安全

な飛行を楽しんでいただくことを希望します。

2009年1月

日本気球連盟安全委員会

NKR プロパン－ iv －

NKRプロパンシステム

目次

第1章基礎知識

1.1 初めに･･････････････ 11.2 LP ガスとは･･････････････ 11.3 気体の基礎知識

1.3.1 空気･･････････････ 31.3.2 ボイル・シャルルの法則･･････････････ 31.3.3 ドルトンの分圧の法則･･････････････ 61.3.4 液体の膨張･･････････････ 81.3.5 蒸気圧･･････････････ 91.3.6 液化・気化･･････････････ 91.3.7 臨界温度と臨界圧力･･････････････ 10

第2章 LPG

2.1 LP ガスの種類･･････････････ 112.2 LP ガスの化学式･･････････････ 112.3 LP ガスの性質

2.3.1 比重と密度･･････････････ 132.3.2 蒸気圧･･････････････ 152.3.3 沸点と融点･･････････････ 182.3.4 液化熱･･････････････ 182.3.5 気化と気化熱･･････････････ 192.3.6 臨界温度と臨界圧力･･････････････ 202.3.7 LPG の性質･･････････････ 20

2.4 プロパンとブタンの混合･･････････････ 222.5 燃焼特性

2.5.1 燃焼と発火温度･･････････････ 232.5.2 ガスの爆発･･････････････ 26

2.6 充填

2.6.1 初めに･･････････････ 262.6.2 ポンプによる重量計量充填･･････････････ 262.6.3 ポンプによる容積計量充填･･････････････ 272.6.4 差圧を利用する充填･･････････････ 27

2.7 容器内における LP ガスの組成変化･･････････････ 28

第3章シリンダー

3.1 容器本体

3.1.1 容器とは･･････････････ 303.1.2 容器の構造及び種類･･････････････ 303.1.3 海外の容器について･･････････････ 333.1.4 材料･･････････････ 33

3.2 容器に対する規定

3.2.1 容器の表示･･････････････ 343.2.2 容器の検査･･････････････ 35

NKR プロパン－ v －

3.2.3 容器の再検査･･････････････ 363.2.4 容器証明･･････････････ 36

3.3 容器バルブ

3.3.1 構造･･････････････ 373.3.2 容器バルブの耐圧、気密性能･･････････････ 383.3.3 容器バルブの刻印･･････････････ 38

3.4 ゲージ

3.4.1 液面ゲージ･･････････････ 393.4.2 フロートゲージ･･････････････ 39

3.5 安全弁･･････････････ 413.6 ガス及び液の取り出し

3.6.1 気体の取り出し･･････････････ 413.6.2 液体の取り出し･･････････････ 41

3.7 容器内の圧カ･･････････････ 423.8 水と空気の混入

3.8.1 水の混入･･････････････ 433.8.2 空気の混入･･････････････ 44

3.9 気球用容器の構造と仕様

3.9.1 ワシントンシリンダー･･････････････ 453.9.2 関東高圧抗張力鋼･･････････････ 463.9.3 関東高圧アルミ容器･･････････････ 473.9.4 神鋼工業アルミ容器･･････････････ 48

第4章バーナーシステム

4.1 初めに･･････････････ 494.2 バーナー(特にコイル)材料･･････････････ 514.3 構造

4.3.1 全体構造について･･････････････ 524.3.2 コイル部について･･････････････ 524.3.3 ノズル部について･･････････････ 534.3.4 パイロットバーナーについて･･････････････ 54

4.4 ホース

4.4.1 熱気球用ホースの特徴･･････････････ 564.5 バルブ

4.5.1 バルブ･･････････････ 604.5.2 バルブの構造･･････････････ 604.5.3 注意事項･･････････････ 64

4.6 レギュレータ･･････････････ 644.7 バーナーの炎の特徴･･････････････ 664.8 バーナーの音･･････････････ 664.9 バーナー出カ計測･･････････････ 66

第5章保安

5.1 安全対策の考え方･･････････････ 695.2 LP ガスシステムの事故原因の分類

5.2.1 使用上の不注意によるもの･･････････････ 695.2.2 調整または点検不良･･････････････ 705.2.3 システムに問題があるもの･･････････････ 70

NKR プロパン－ vi －

5.3 LP ガス取り扱いの注意事項

5.3.1 保存･･････････････ 705.3.2 電気の危険性･･････････････ 715.3.3 保守･･････････････ 71

5.4 LP ガスの火災

5.4.1 LP ガス火災の状況･･････････････ 715.4.2 LP ガス火災の消火･･････････････ 725.4.3 消火器･･････････････ 72

第6章 APENDlX

6.1 用語･･････････････ 736.2 使用単位･･････････････ 75

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第 2章　LPG

2.1　LPガスの種類

私たちが熱気球の燃料として一般的に使用するLPガスとは、液化石油ガス(LiquefiedPetroleum Gas)の略で、俗にLPGなどと呼ばれている。このLPガスは、一般に石油中に含まれ、

石油精製の過程や原油採取井から採取される、比較的低圧力で液化しやすいプロパンやブタン

などを圧縮(6～7気圧)または冷却(－42.2～－0.6℃)することによって液化したものである。

日本国内でLPガスとして一般消費者に販売されているものは、表2-1のように、主にプロパン

の含有率によって分類されている。家庭用として一般的に供給されているものは「い号液化石油

ガス」に分類されるプロパン９９％以上の純粋プロパンである。それに対して、「ろ号」、「は号」は

オートガス(タクシー用）として供されるものである。オートガスは季節や地域により混合率を変化さ

せて供給されている。気球用として使用するのは、通常の温度下で最も使用しやすい圧力を得ら

れる「い号液化石油ガス」(家庭用プロパン)である。

表 2-1　一般消費者等に販売できる液化石油ガスの規格

名称プロパン及びプロピレン

の合計含有率

エタン及びエチレン

の合計含有率ブタジエンの含有率

い号液化石油ガス 80%以上 5%以下 0.5%以下

ろ号液化石油ガス 60%以上 80%未満 5%以下 0.5%以下

は号液化石油ガス 60%未満 5%以下 0.5%以下

備考　含有率は、モル比によるものとする。

2.1　LPガスの化学式

LPガスは、一般に石油中に含まれる比較的低圧力で液化しやすいガスであるプロパン(C3H8)、プロピレン(C3H6)、nブタン(C4H10)、isoブタン(C4H10)などの炭化水素、及びその化合物を主に

含んだ物質総称である。科学的には、パラフィン系とオレフィン系とに分けられる。 LPガスの分

子構造を図2-1に示す。



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3.2.3　容器の再検査

容器は、検査後一定期間を経過した時に、容器の再検査を受け、合格したものでなけ

れば充填することはできない。容器再検査までの有効期間を表3-2に示す。詳細は「容

器保安規則」を参照のこと。

表 3-2　ＬＰガス容器の再検査期間

製造後の経過年数容器の種類

20 年未満 20 年以上

溶接容器500 リットル以下のもの

(20kg、30kg、50kg 容器) 5 年 2 年

ただし、1989 年(平成元年)3 月 31 日以前に製造されたものは下記の規定に基づく。

製造後の経過年数

容器の種類8 年未満

8 年以上20 年未満

20 年以上

50 リットル以上 120 リットル未満

(30kg、50kg 容器) 4 年 3 年 1 年

溶接容器50 リットル未満

(20kg 容器) 5 年 3 年 1 年

3.2.4　容器証明

容器証明書制度については、現在は廃止されている。




































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